Another Days

tomorrow's another day、some say …

大沢、スティルス

【月曜和もの80's】そして僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸('84)
84年の”そして僕は途方に暮れる”は、カップヌードルのCMに使われたヒット曲。テクノ的な音作りは意外でした(もっと硬派なストリート系のロックシンガーだと思ってた)。雑誌でブルー・ナイルを引き合いに出してたライターの人がいて、ああ!と思ったものでした。ノリに乗るエピック・ソニーらしいヒット。
 

【名曲リレー2724】right#2

■Right By You / Stephen Stills(‘84)

CS&Nの活動を挟んでるんでソロとしては「Throughfare Gap」以来相当久々となったスティルスの「Right By You」は時代から随分浮いた感じの1枚。ラテンやブルーグラスっぽい曲があるかと思えば、こういうあの時代にはありえなかったブルーズのタイトル曲。こういう曲でジミー・ペイジ(g)参加というのもなんかあがいてるなあという感じ。

https://www.youtube.com/watch?v=X5cTfoUwzXA

 

 

【先週の読書】
24075■三月は深き紅の淵を / 恩田陸(講談社)
『読書を趣味とした現代の若者が「何か他の人と違う事をする奴」という風に異端的にとらえられている』とか、
『昭和30年代以降生まれの女性作家の「ぼく」で始まる一人称の小説を認めない』とか、
『子供の頃、本を読んでも誰々作って意味が分からなかった、本に作者ってものがいる事に気が付かなかった』とか、
 『物語をあたかも自分に隷属するものの様に扱うのは物語を貶めている証拠だ』とか、
本にまつわる様々ないいセリフが登場人物の口から発せられるこの本はすごい。
幻の小説「三月は深き紅の淵を」をめぐる4つの物語。とりわけ「出雲夜想曲」は独立した中編としても結構イケます。
会社を辞め専業作家として新たにスタートを切った恩田さん第4作です。今は亡き雑誌「メフィスト」色の濃いミステリでした。
画像は珍しくハードカヴァーの方で(お馴染みの北見隆さん)(1997)。
24076■サブウェイ・パニック / ジョン・ゴーディ(ハヤカワ文庫NV)
地下鉄を乗客を人質にハイジャックするという荒唐無稽な話ですが、ジェゼフ・サージェント監督の同名映画の原作。膨大な登場人物を交通整理して見事な娯楽作品に仕上げた(しかも短い時間で)映画版に比べると原作は未整理でちょっと残念。映画では犯人グループは色で呼ばれてましたが(その部分は「レザボア・ドッグ」が引用)こっちは違うのね。(1979)
24077■象と耳鳴り / 恩田陸祥伝社文庫
六番目の小夜子」に出てくる引退した判事(という設定がクリスティーっぽい)の関根多佳雄を主人公とした短編集。ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」が引き合いに出されるように断片から推理して事件を割り出し解明する知的ゲーム的なものから、日常の謎を解くものまで多彩。初期には版元によって作風を変える傾向にあって、デビューとなった新潮社は行きがかり上モダンホラー講談社新本格の総本山だったメフィスト誌連載もあってミステリなムードの小説、集英社はファンタジー、そして祥伝社本格ミステリというか謎解き、という感じでした。(1999)
24078■木曜組曲 / 恩田陸(徳間文庫)
冒頭に樋口一葉の「たけくらべ」の一説が引用されてて、ああそっちの素養がないとわからん話だったっけ?と身構えたのですが、全然そんなことなかった。ついでのそこでも紹介されたた「たけくらべ」論争というのがありまして、主人公の少女(花魁の姉を頼って一家がお茶屋に住みこむ)が最後、友人たちを拒絶したのは、少女がそのころ自分の初潮を見た、という説が長らく通ってましたが、実は初潮ではなく自身が水揚げされたのではないかという新説をめぐっての論争だそうです。でその論争がなんと80'sに入ってからのことで、90年近く経ってからこう言う意見が出る純文学界はなんとも男社会なことよ~と主人公に言わせております。まあこうした本筋とは直接関係ないエピソードがザクザク出てるところがこの人の魅力でもあります。ネタバレになりますが、三転四転するラストにはしてやられた感たっぷり。こちらも懐かしいハードカヴァーの表紙を(1999)。