Another Days

tomorrow's another day、some say …

ウォルシュ、ジャーニー、ベスナル

【月曜は鷲をめぐる30曲】9・In The City / Joe Walsh('79)

「The Long Run」がスランプの末大変な難産でリリースされたのですが、本来ならシングルのB面曲でLPには入らないタイプの”Disco Strangler”や"Greeks Don't Want No Freaks"を数合わせのために入れなければならなかった事にその苦悩ぶりがうかがわれます。レコーディングの費用もかさんで一日でも早く回収しなければならなかったという事情もあったでしょう。ジョー・ウォルシュが書いた”In The City”も当初は映画「ウォリアーズ」用にウォルシュが提供した曲でした。そっちのヴァージョンはサントラでしか聞けません。

https://www.youtube.com/watch?v=jB9B1uNxwuY

 

【名曲リレー2584】lights#2

■Lights / Journey(’78)

初ジャーニーは多分この辺。「Infinity」からのシングルでスティーヴ・ペリーが加わった最初のLPだったかと。元々初期サンタナの残党が集まってラテン色を抜いたスペーシーなポップロックをやってたジャーニーが次のステップに上がった感じ。ハーモニーの美しさも印象的。Dsは英ブルーズ・ロック出身ながらすでにワールドワイドなセッションを繰り広げていたエインズレー・ダンバーでこのLPがジャーニーとしては最後となりました(この後ジェファーソン・スターシップへ)。

https://www.youtube.com/watch?v=tNG62fULYgI

【先週の読書】

24017■下町探偵局PartII / 半村良(ハルキ文庫)
「下町探偵局」後半戦。両国のしがない探偵屋を舞台にした人情ハードボイルドで、宮部みゆきもこういった作品に強く影響されてることが読むたびにわかります。(1984)
24018■鈍色幻視行 / 恩田陸(集英社)
秋に作中作「夜果つるところ」を読んでまたこっちを読みたいと思いつつなかなか順番が来なくて遅くなりました。もしこれから読みたいという方は「夜~」を読んでからの方がいいです。
元々は集英社のweb、RENZABUROに連載されたのち雑誌「すばる」で9年と、足掛け15年かけて完成した大作(連載媒体が次々と休刊することが多い昨今、大作が中座してるパターン多し)なのですが、まずは集英社の特設サイトに載ってるあらすじをコピペ。
>小説家の蕗谷梢(ふきやこずえ)は、謎の作家・飯合梓(めしあいあずさ)と、その代表作『夜果つるところ』に関する作品を書こうと決意。
『夜果つるところ』は三たび映像化が試みられたが、いずれも不慮の事故で中止となった"呪われた小説"だった。
奇しくもその関係者たちがクルーズ旅行への参加を予定しており、梢は夫の雅春から誘われて、夫婦で乗船することになった。
船上では、映画監督の角替(つのがえ)、映画プロデューサーの進藤、映画評論家の武井、担当編集者だった島崎、漫画家の真鍋姉妹など、この小説にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語りだす。次々と現れる新事実と新解釈。
飯合梓は本当に死んだのか?撮影現場での事故は本当に偶然だったのか?そして、梢には自分の夫である雅春にこそ、本人に聞けないことがあった。実は彼の前妻は、この小説の映像化に関わり、脚本の完成直後に自殺をしていた…。
旅の半ば、『夜果つるところ』を読み返した梢は、ある違和感を覚える。2週間にわたる旅の最後に、梢がたどり着いた「真相」とは…?
架空の書物「夜果つるところ」と未完に終わった映像化作品をめぐる謎、ということで恩田さんの初期の傑作「三月は深き紅の淵を」を思い出さずにはいられませんし、後半の関係者への個別インタビューの部分は実験的だった「Q&A」を、本筋とは関係ない話を登場人物が次々と語るさまは「黒と茶の幻想」を思い出します。クルーズ船中の出来事ゆえクローズド・サークルの本格推理を期待してがっかりのコメントが読書メーターにも載ってましたが、全くそういう話ではありません(と書きつつ集英社のwebに載ってるインタビューではクリスティーのような古き良き匂いがするミステリを書きたかった、と答えてます)。カチッとした結末でないのはこの人のスタイルではありますが、1度読んだだけでは全貌が見えてこない大作です。尚「夜果つるところ」も刊行されてご丁寧にカヴァーはリヴァーシブルで、表は作者名恩田陸ですが、裏面は、飯合梓名義になってます。
 前にも書いてますが、完成まで相当時間がかかった(連載媒体の休刊、休止が続いたので)大作で、決して客船のクロースド・サークルで探偵が謎を解決するだけの話ではありませんが、恩田テイスト満載の一作。過去の恩田作品をなぞるような部分も多く、ああここは「黒と茶の幻想」だ、「三月は深き紅の淵に」だ、「ネクロポリス」だ、「Q&A」だ、と思ったものでした。(2023)