Another Days

tomorrow's another day、some say …

デイライト、ロギンズ

【日曜は<個人的には超名盤>100】2/100・Daylight(RCA'71)

デイライト(Daylight)は、RCAに1枚71年に出して消えた5人組英フォークロック。森の中の鏡というヒプノシスのジャケットもいいですが、紅一点クリッシー・クエイルとマイク・シルヴァーによる男女混成のハーモニーがアコギに乗って森にこだまする感じ。プログレフォーク好きな方には反応あってもよさそうですが、あまりそっち方面では語られず、また長い間CD化が遅れてて、近年スペインのRDIと韓国のBig PinkからやっとCD化されました(こういうのこそソニーがちゃんとリマスターして解説付けて出すべきだ)。

手持ちのは正規で出る前に手を出してしまったHugo Montes Productionのブートで、ジャケの色合いがちょっと悪い。1曲目の”Lady Of St.Clare”がゲストのリン・ドブソン(ソフト・マシーン)のfluteもあってベストトラックか。"Ain't It Right"の可憐な感じもいいです。10年くらい前お友だちの洋子さんが紹介してくれた1枚で、4年前の投稿でコーティングジャケの日本盤LPがあったことも判明(SRA5532)。cogsに載ってる帯付ではネオン・シリーズ(日本のRCAの独自のシリーズでNeonレーベルとは限らない)のマークがあるので見本盤まで作って結局出なかったのかもしれません。この写真はその日本盤LPの写真をお借りしました。

イングランド南東部のコーンウォール地方のミッドランド出身のクリッシーはデイライト以前には地元ゼナーのフォーククラブで歌っていたり、インクレディブル・ストリングス・バンドのメンバーが組んだCOBにいいたといわれてますが、デイライト解散以後、ダディ・ロングレッグスにかかわったという話も。

https://www.youtube.com/watch?v=vA7gar1eWUk

https://www.youtube.com/watch?v=JtFYE1KAmFI

 

【名曲リレー2786】this#2

This Is It / Kenny Loggins(’79)

ロギンズ&メッシーナ解散後ケニー・ロギンズは、“Footloose”でロック的にブレイクするまでAフュージョンAORの方向に寄っていたことがありました。この“This Is It”もそうで、マクド調のコード進行やコーラスも聞かれるのです。

https://www.youtube.com/watch?v=VS52sEUqxMo

 

3/100・Don't Look Back / Boston

いきなり超メジャー盤です。75年に結成されたんで今年で約50年のボストンですが、この間にリリースされたのはたった6枚というからその寡作ぶりは徹底しています。76年のデビュー作「幻想飛行」はとにかく売れに売れたポップなメロディーのハードロックでした。圧倒的にこのファーストを推す人が多いのですが、僕は昔からもうずっとセカンド「Don't Look Back」派なのです。レコーディングに時間をかけたとはいえ以後の作品のようなペースではありません。曲が湧いて出るような状態にあったのでしょうし、機材の充実ぶりもあります(デビュー作から音の広がりなど、音響的に別角度から注目されてはいました)。内ジャケに誇らしげに書かれたNo Synthesizers Used,No Computers Usedの文字も印象的でした。全曲捨て曲なしで、ことさらハードに決めようとするスティクスのような感じもなく、親しみやすいメロディーがドライヴするgとkbにうまく乗ります。日本ではことさらSFっぽいイメージで売り出され(まあ空前のSFブームでしたから)ましたが、歌詞はシンプルな失恋ラヴソングだったり、パーティで騒ごうぜ!的なメリケン・ロック。やはり"Don't Look Back"から始まる3曲メドレーが強力。前作はほとんどトム・ショルツ一人によるマルチダビングでしたが、今回はちゃんとメンバーが演奏しています。ただ完璧に仕上げることに重きを置いたショルツは次のサードまで8年かけていて、レーベルのEpicと裁判になっています。日本ではCBSソニーから独立したエピック・ソニーの第1回リリースの目玉として大きな広告が印象に残っています。

 

4/100・Sunset Wading / John G Perry(Decca)

かつてキングからヨーロピアン・ロック・コレクションの1枚としてリリースされた(タマがなくなって来たのか、イギリスもヨーロッパだという発想である時から英ロックもラインナップに組み込まれるようになりました)「Sunset Wading」は、キャラヴァン、クォンタム・ジャンプのbassジョン・G・ペリーの初ソロ。

76年というビミョーな時期に作られた非コマーシャルなコンセプト・アルバムで、クォンタム・ジャンプのルパート・ハイン(kb)、元クリムゾンのマイケル・ジャイルズ(ds)、キャラヴァンのジェフリー・リチャードソン(viola,fl)、ブランドXのモーリス・パート(perc)、オサンナ~ノヴァのガーランド・ラスティッチ(g)とエリオ・ダンナ(sax)らが参加。歌ものは”How Goes The Night”くらいであとは静謐な印象を受けるインストがならんでいます。とりわけ日本盤が出た79年に時点でニュースが全くなかったジャイルズの素晴らしいdsが聞けてコーフンしました。買い直したVoiceprintからの再発CDがトリミングジャケでなんとも味気ないのです。よって拾い物の画像も貼りました。

 

5/100・Throughbred / Carole King(Ode)

サラブレッドとは、thorouhbredは、最初読めなかったのです。このキャロル・キングの75年作を初めて買ったのは、大学時代、買い付けと称して上京した際の数寄屋橋のハンターでした。実はハンターとは相性悪く、盤質表示が甘かった覚え(検盤はもちろんするが枚数多いと注意力散漫になる)。よってこれも結構スクラッチがありました(その後CD化されて買いなおしたけど)。みんな忘れてますが、70's後半、Odeの権利がEpicに移るまで(OdeのすべてがEpicから出せるわけではないようですけど)、それ以前キングが国内配給していたキャロル・キングのLPはどれも新品では入手困難な時期があったのです。Capitol時代の「Pearls」でキャロキンに目覚めた僕としては、ウエストコースト色の強い「Throughbred」を選択するのは、当然のチョイスでした。ニュー・ソウルの方向に寄っていたキャロ・キンが西海岸に方向を変えたのは日寄ったと見る向きもあったようですが。実際シティ時代の盟友ダニー・クーチ(g)とセクションのリズム隊(ラス・カンケルとリー・スクラー)、ワディ・ワクテル(g)、JT、C&N(vo)ら、いつものNY派とは違うメンツに囲まれて、また西海岸の陽光を浴びてか、より明るく開放的な印象があるアルバムで「Tapestry」以上に手が伸びました。ジョージ・ハリスンの"Give Me Love"風のイントロによる"There's A Space Between Us"は地味だけど、悪くない。後半湧き上がるようなJTのvoもいいです。手持ちの再発CDはジャケの茶色の額縁が無粋なのでトリミングしました。

 

6/100・Peter Anders('72)
バカラック=デイヴィッドやゴフィン=キングよりもアンダーズ=ポンシアが好きな僕としては、ピート・アンダーズのこのファーストのCD化はうれしかった。イタロ=アメリカンとしてロード・アイランド州プロヴィデンスで生まれ同郷のヴィニ・ポンシアと組んでスぺクター傘下で60'sに多くのヒット曲を量産。その後独立してトレイドウィンズ、イノセンスといった架空のグループをでっちあげ、ドリーミーなシングルを出しています。コンビ解消後の72年にアンダースがリリースしたソロ「Peter Andes」(Family Production)。この韓国Big PinkからのCD化は、Tiger Lilyからの再発盤を模した紙ジャケなんでそっけないジャケですけど、こってりしたメロディーを堪能できます。ダニー・コーチマー、エリック・ゲイル、リー・スクラー、ブライアン・ガロファロらに交じって同じFamily Pro所属の若きビリー・ジョエルも参加しています。この辺を好きになったのはやはりタツロー氏や健太さんのラジオの影響も大きいなあ。ビタースウィートなメロディを展開した”Yesterday’s Too Many Dreams Away”は稀代の名曲だと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=Kx_EpsCaEJk

 

7/100・Painted Head / Tim Hardin('72)
ティム・ハーディンと言えば、"Reasons To Believe"等有名曲は多いですし、ジャズ系の人たちをバックにした「Bird On A Wire」も評価が高いのですが、一番好きなのは、他人の曲ばかり歌った72年の「Painted Head」です。バッドフィンガーの”Midnight Caller”と”Perfection”、ウィリー・ディクソンの”You Can't Judge A Bool By The Cover”などいい曲満載。でもつべにはないんだなあ。ロンドン録音なんでバックは英ロックの人たち(クリス・スチュワート(b~アエラ・アパレント)、ブルース・ローランド(ds~グリース・バンド)、ピーター・フランプトン(g)、アラン・デイヴィス(g~キャット・スティーヴンス)etc)。prodはシャドウズのトニー・ミーハンでした。当時の日本盤LPの解説を07年の紙ジャケ再発CDにそのまま載せてるんですが、思い入れだけで情報がない今野雄二さんの解説はちょっと困ります(いくら廉価といってもなあ)。一番好きなのはちょっとザ・バンド的なスワンプ・ムードの”Lonesome Valley"ですが、ないんで”Till We Meet Again”を。全体的に英国フォークロックなムードに満ちた傑作だと思います。このあとCBSを離れ、英GMに移籍します。
 

8/100・Ashton Gardner & Dyke('69)

日本ではその活動時期には、どの程度知名度があったのかわかりませんけど、ELPと同じ編成ながら全く音楽が違うアシュトン、ガードナー&ダイク。奇人としても知られるトニー・アシュトンがジョン・ロードの友人ということもあり(マネージメントが同じだったので)、パープル本にも名前はたびたび登場するも、ハードロックでは全くないんで多くのファンはスルー。僕のような奇特な人はちょっと手を出してみて、スルメのようなその音楽のとりことなります。一言でいうとビッグ・バンド・ロック(そんな言葉ない)かなあ。
元々はリヴァプールで60'sにやってたレモ4というバンドが前身で、ドイツのStar Clubというレーベルから何枚かシングルを出してたジャズっぽいビート・バンドでした。トリオ編成となって69年に出したデビュー盤が本作。ブルーズとジャズが根底にありながら、歌はコミカルで哀愁に満ちたムード。名手というほどではないけど歌の引き立てるオルガンがいい。1曲目の”Rolling Home”がベストかも。
ちなみにデレク&ザ・ドミノスの命名者がアシュトンという説もあり。キム・ガードナーはモッズのクリエーション出身で、ロイ・ダイク(元奥さんはホークウインドのダンサー、ステイシア)と共に音楽性が変わったバジャーに加わったこともありました。ヒット曲”Resurrection Shuffle”はこの後のリリースでLPには未収録。このRepertoireからのCDにはボーナス扱いで入ってます。
 
9/100・Welcome Back / John Sebastian ('76,Reprise)
土曜の夜に踊りだす前のジョン・トラヴォルタが主演のTVドラマ「Welcome Back Kotter」に使われたタイトル曲が大ヒットのおかげで久しぶりに日本盤LPもでました(前作「Tarzana Kid」はルーツよりすぎでか日本盤が見送られた)ジョン・セバスチャン。もちろん60'sにはラヴィン・スプーンフルを率いて、楽しいロックンロール(ジャグバンド、ブルーズ、フォークy、ジャズのミクスチャー)をやってた人。本作はTOTOのリズム隊にリチャード・ベル(kb~後にザ・バンド)というバックで録音されたせいでプレAOR的なムードがない事もないですが、必殺の三連ロッカバラードに泣きのハーモニカが絡む"She's Funny"や映画的な小品”Let This Be Our Time To Get Along"”などが素敵なアルバムです。
 
10/100・In California / Compton &Batteau ('70)
これまた一般的にはマイナーなユニットです。80年にCBSソニーから出た<イッツ・ア・ビューティフル・ロック・デイ・シリーズ>という廉価再発シリーズは、ssw、スワンプ、カントリー・ロックなどCBS系の結構深い所を紹介。その中の1枚として紹介されたのがコンプトン&バトゥー(当時はバテューとして)。アル・クーパーがprodしたアパルーサというソフトロック・ユニットの中心人物、ジョン・コンプトン(g,vo)とロビン・バトゥ(violin,g,vo)によるジェントルなフォークロックなんですが、アコギとヴァイオリンが奏でるこの世界は、当時の僕にはとても優雅に甘美に聞こえました。寒い東部から暖かいカリフォルニアにやってきた2人による春の訪れを告げるような音楽。ポコの初期のメンツからランディ・マイズナーとラスティ・ヤング、ジム・メッシーナが参加しています。80年当時ソニー系の新譜はFMの「ミュージック・スコープ」で紹介されることが多く、そこでかかった”Laughter Turns To Blue”の美しさにすっかり参ったのでした。この<イッツ・ア~>シリーズはその後ソニーからCD化されることが多かったのですがなぜかコンプトン&バトゥとジェームズ&グッド・ブラザーズは出ず、17年に英EarthからやっとCD化されたのでした。
 
11/100・Pollen / Pulsar ('75)
ピュルサー(英語読みではパルサー)はフランスのプログレッシヴ・ロックで日本では松本零士によるポスターでおなじみの「Strand Of Future」がデビューとなりましたが、それ以前に出してたファーストの「Pollen」('75)がキングのユーロピアン・ロック・コレクションで紹介されたのが79年頃。なんで買ったのかはよく覚えてませんが、当時fluteの入ったロックが好きだったからでしょう。ボソボソと歌うvo、重く分厚いsyn、ファズgととにかく暗い印象。”Omen”という曲でスキャットとpianoをバックに英語のたどたどしいナレーションが入る感じは、聞きこむとたまらない魅力があります。CBSから出たサードの「Halloween」('77)の人気が高いバンドですが、僕にはこのファースト。そもそもシンフォニック系のプログレなど他にあまり聞かないのになぜかこのアルバムには惹かれるのです。この時代の欧バンド同様英プログレからの影響下にありますがピュルサーの場合フロイドとクリムゾンですね。
 
12/100・Tim's House / Kate Walsh(’07)
15年以上前に「Music Magazine」誌の輸入盤紹介でのレヴュー見て買ってしまったケイト・ウォルシュの「Tim's House」です。イギリスのフォーク系のsswですが、ベス・オートンに通じるものもありました(たとえが古くて申し訳ない)。こういうのを聞くとジョニ・ミッチェルという人はパイオニアだったのだなあとしみじみ思います。同名の米女優がいるので検索にはなかなか引っ掛からず、FBで検索しても自分の投稿(しかもいつも同じこと書いてる)ばかりで恥ずかしい。繊細な感じで耳元でささやかれてる様な声が可憐です。特に"Don't Break My Heart"と”Your Song”が素晴らしいのです。もう1枚「Light And Dark」を出したところまでは追ってたのですが、その後カヴァー集「Peppermint Radio」と「Real Thing」('12)のあと消息を絶っております。