Another Days

tomorrow's another day、some say …

グレン、ロネッツ、プリファブ

【月曜は鷲をめぐる30曲】11・I Volunteer

82年に待望のソロ「No Fun Aloud」を出したグレン・フライ。その時点でイーグルス解散のアナウンスはなく(実際はもう解散状態でしたが)、あくまでも活動休止中に趣味のR&Bっぽいソロを作ったみたいな感じでした。実際ルーファスのジョン・ロビンソン(ds)、ホーク・ウォリンスキー(kb)らが参加したこのソロは旧知のジャック・テンプチンが書いた曲もR&B風の味付けがなされていました。”I Found Somebody”、”The One You Love”などのsaxが入ったバラードがヒット。シングルカットはされてませんがこの”I Volunteer”もしみじみさせるナンバー。コーラスでビル・チャンプリンやマーシー・レヴィ参加しています。作者の一人にテンプチンの名も見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=6YoXB6mEdIk

 

 

【名曲リレー2598】here#2

■Here I Sit / The Ronettes(‘65)

65年にレコーディングされ未発表だったロネッツの“Here I Sit”は70'sに英Phil Spector Internationalから発掘された「Rare Masters Vol.2」に収められたニルソン曲。イントロからスぺクター節炸裂でうれしい。今ではフツーにロネッツの編集もので聞けますが、日本製ブートの「Rare Masters」の2in1CDを池袋PARCOのOn Stage Yamanoで高いなあと思いつつ買ったことが懐かしい。

https://www.youtube.com/watch?v=ucvCAEldWo8

 

ただいまのBGMはプリファブ・スプラウトの「Steve McQueen」('84)なり。当時はネオアコの流れで語られたグループでしたが、もっと大きな存在でした。硬いgの透明感ある感じが好み。すごく繊細な感じします。prodはトーマス・ドルビーでした。紅一点のウェンディーのハーモニーがいい。ベストトラックは有名な”When Love Breaks Down”か”Bonny”ですねえ。

 

【先週の読書】

24024■災厄の町 / エラリイ・クイーン(ハヤカワミステリ文庫)
4年前に改訳版を久しぶりに再読したのですが今回は旧訳ヴァージョンを。正直sisterが姉でも妹でも本筋に影響はないから、旧訳(青田勝訳)でも十分楽しめました。昔の文章を引用しつつ...

ハヤカワミステリ文庫の青の背表紙で、巽亜古(たつみあこ)さんの幾何学的模様の表紙といえば、エラリイ・クイーンです。僕がミステリ読み始めた70’s後半は、日本では謎解き本格ミステリがハードボイルドや警察小説に押されやや下火となってきた時期でしたが、それでもクリスティー、クイーン、カーの御三家は日本でも知名度抜群でした。クイーンはご存知の通りダネイとリーによる合作チームによるもので、作者名と同じエラリイ・クイーンという探偵を輩出し、実にアメリカ的な作風の推理作家でした。とはいえ代表作とされる初期の国名シリーズや別名義で書かれた悲劇シリーズは戦前の作品で、僕が読んだ当時から古い、という感覚はどうしてもありました。
謎とかトリックにさほど興味のない僕は、謎の精度が落ちたといわれ、代わって人間が描かれている、という評価の中期以降の作品、とりわけライツヴィルというニューイングランドの架空の田舎町を舞台にしたシリーズに惹かれました。よく言われるように物語として充実している、人間が(小さな町の濃密な人間関係が)描けている、というような理由です。「配達されなかった3通の手紙」というタイトルで日本人キャストで映画化されてたことを思い出しました。しかしこのタイトルズバリですねえ。
作中探偵のEQはこれ以降、見事に事件を解決するばかりでなく、犯罪を防げず、悩み、傷つきと人間くささを出してゆきます。長いものに巻かれていたが、実は心の底では反感が渦巻いた田舎町の人間関係もよく書かれています。(1942→1977)

24025■ウッドストック行最終バス / コリン・デクスター(ハヤカワミステリ文庫)
コリン・デクスターの登場は、時代遅れなものとハードボイルドや警察小説、そしてクライム・ノヴェルに押されていた謎解き本格ものの復権の狼煙、というような当時の印象があります。ポケミスも買って読んだので相当久々の再読です。イギリスでは大人気のモース警部とルイス巡査部長も初登場のデクスターのデビュー作。よく言われるように脆弱な仮説に次ぐ仮説を立てるモースのやり方は脳内推理で、コツコツと足で証拠を見つける警察小説とは対極の位置にあります。昔ならともかくこの手法はちょっと今の僕にはピンときませんね。キャラはいいのですけど。(1975→1988)

24026■異邦人 / 半村良祥伝社文庫
旧題「超常領域」。得意の(^^)亜空間に閉じ込められた男が苦悩する話。なぜそうなったのか説明もなく、ラストはなんだか尻すぼみですが途中までは一気に読ませます。キングの「アンダー・ザ・ドーム」」(未読です)みたいな話かも(もちろんこっちが早い)。密閉された空間に閉じこまれた人々の中で格差から争いが起こる話でもあります。(1990)