Another Days

tomorrow's another day、some say …

マック、ホール、コーギス

【木曜はマック関連(新)】1・I Believe My Time Ain't Long('67)

ジョン・メイオールのブルーズブレイカーズから独立したフリートウッド・マックは、ピーター・グリーン(g,vo)、ジェレミー・スペンサー(g)、ミック・フリートウッド(ds)、ボブ・ブラウニング(b)で、最初期ジョン・マクヴィー(b)は契約の関係でブルーズブレイカーズと掛け持ちでした。

I Believe My Time Ain't Long”は、67年11月リリースの英デビューシングルで、スペンサー作。エルモア・ジェイムズ好きのスペンサーならではの、”Dust My Broom”の有名なフレーズを引用しています。オリジナルアルバムには未収録で、69年の英編集「聖なる鳥(The Pious Bird Of Good Omen)」に収録。この印象的ジャケは77年のCBSソニーの設立10周年のロック名盤でも印象的なものの一つでした。

https://www.youtube.com/watch?v=cYV88w9iF7M

【名曲リレー2643】day#3

■Break Of Day / John Hall(‘78)

オーリアンズがいったん活動を休止した際にAsylumから出したソロ「John Hall」('78)に入ったメロウな曲。ボニー・レイットローウェル・ジョージがハーモニーを付けていますが間奏のgソロがいかにもこの人らしく泣かせます。

https://www.youtube.com/watch?v=qrsL2EYAU68

 

ただいまのBGMはコーギスの「Dumb Waiters」('80)なり。スタックリッジのメンバーによるニュー・ウェイヴ時代のポップ。美しい”Everybody's Got To Learn Sometimes”を含むセカンドです。

2・Landslide(’75)

22年11月30日のクリスティン・マクヴィーの訃報以後マックは活動を停止しておりますが、23年3月10日のスティーヴィー・ニックスのSofi Dome(California)のステージのアンコールでクリスティンのスライドをバックに”Landslide”が歌われています。

元々は「ファンタスティック・マック」に入ったアコースティックなバラードでリンジーのアコギをバックに歌われます。バッキンガム・ニックス時代のレパートリーのようで、スティーヴィーの父親に捧げられています。

https://www.youtube.com/watch?v=f7ZEe33xcd4

訃報を伝えたBBCニュース

https://www.youtube.com/watch?v=bd7MEI9cJjU

 

 

3・Dragonfly(’71)

「Kiln House」のあとジェレミー・スペンサーが去り、新たに加わったのは旧知のクリスティン・マクヴィー(kb,vo)とアメリ人gtrのボブ・ウエルチ(g,vo)でした。ウエルチは黒人リズム隊とヘッド・ウエスと言うバンドで1枚仏VogueにLPを残しています。昔の本でソウルバンドと書かれてたのは、3人のメンバーのうち白人がウエルチだけだからなんでしょうが、フランスで活動してたのでしょうか?謎です。

この5人態勢でまず録音されたのがシングル”Dragonfly”です。ダニー・カーワン作で「霧がかかったような音づくり」(こういう音を完成させたのはエンジニアなりプロデューサーの手腕なんでしょうか?)は、やはりこの人の持ち味です。詩人のウィリアム・ヘンリー・デイヴィスの詩に曲を付けています。シングル・ヴァージョンよりも出来としてはドイツのTV番組Beat Clubでのライヴ・ヴァージョン(意味のない視覚効果を施してますが…)の方が素晴らしいのです。このメンツによる「Future Games」にも未収録となったシングル・オンリーの曲です。CBSから出た「Greatest Hits」以外ではなかなか聞けません。 

 

https://www.youtube.com/watch?v=_PJ1Sd40d2A

 

4・Trouble / Lindsey Buckingham('82)

「Live」('81)リリース後メンバーはソロ活動に入りますが、リンジー・バッキンガムはほとんど自分ひとりで作り上げた「Law And Order」を米Asylum(だったのですよ!)からリリース。日本ではMercury(フォノグラム)から出ました。ここからの”Trouble”は大ヒット(最高位9位)。繊細なgが聞かれるいい曲ですがパロディのようなPVにはびっくり。ミック、ボブ・ウエルチ、ボブ・ウエストン、ウォルター・イーガン(ロビー・パットンやダニー・ドゥーマを含めてマック・ファミリーだと考えてます)、キャメルのアンディ・ワード、ドゥワイト・トゥイリーらも参加してるとの事。

https://www.youtube.com/watch?v=Kcm3dbuV8Z4

5・Heroes Are Hard To Find('74)

数々の苦難を乗り越えて74年にリリースされた「Heroes Are Hard To Find」のタイトル曲。LA録音で今まで以上に明るくなったムードです。hornsがマックの曲に入るのはひょっとしたら「Mr.Wonderful」以来かもしれません。voはクリスティン・マクヴィー。ジャケットには久々にミック社長が登場。当時日本ではリリースは見送られ初来日の際「クリスタルの謎」という意味不明な邦題で出ました。

https://www.youtube.com/watch?v=Id8e30G6064

6・Sara(’79)

スティーヴィー・ニックスが2枚組「Tusk」('79)で書いた5曲はどれも印象的でして、一番有名なのはセカンド・シングルとなった”Sara”でしょう。アルバムでは6分を超えるナンバーをシングルでは4分台に編集。アルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョンは違うのですが、まあ長いか短いかの話です。タイトルのSaraに関しては、リンジーと別れたスティーヴィーはその後ミック社長とも恋愛関係にあったといわれますが、ミックとの関係を終わらせる存在だった女性の名前とも、当時のBFドン・ヘンリーとの間に出来た娘(結局流してしまった)に名づけるつもりだった名前とも、言われてます。まあゴシップ的な事、プライヴェートな事はよくわかりませんけど。エコーをかけた歌声が又スティーヴィーのけだるいムードに合っています。最高位7位。

https://www.youtube.com/watch?v=9bWGy0K5VF0

7・I Loved Another Woman('68)

68年2月にリリースされたデビュー作「Peter Green's Fleetwood Mac」(Blue Horizon)からの”I Loved Another Woman”は、”Black Magic Woman”へとつながる原型で、グリーンのオリジナルで甘く切ないgと歌声が印象的。アルバムはボブ・ブラウニング(b)参加の曲もありますが、ブルーズブレイカーズと掛け持ちだったジョン・マクヴィー(b)が本格的に参加したもの。最高位4位(英)まであがり68年のブルーズ・ブームをけん引する存在となりました。

https://www.youtube.com/watch?v=PlD274R1l2M

時は流れて87年のツアーで新加入したリック・ヴィトゥー(元ジャクソン・ブラウン・バンド)は、意外とブルーズに親和性あってこの曲をツアーでカヴァー。

https://www.youtube.com/watch?v=N-Yg0ZMPR80

8・Black Book / Paris('76)

トラブル続きのマックを辞めた後のボブ・ウエルチは、ジェスロ・タル~ワイルド・ターキーのグレン・コーニック(b)、ナッズのハント・セイルス(ds)と、ハードロック・トリオのパリスを結成。汗のにおいを感じさせないスタイリッシュなハードロックとしてCapitolからのデビュー作「Paris」からの”Black Book”が日本ではDJの渋谷陽一がラジオでかけまくり一躍人気バンドとなりましたが、本国アメリカではさっぱりでした。

https://www.youtube.com/watch?v=6cxyGeRQA9o

9・Hi Ho Silver(’70)

「Then Play On」('69)の後、それまでフロントに立っていたピーター・グリーンは脱退、続いて中心となったのはスライドgの名手、ジェレミー・スペンサーでした。グリーン時代末期に、いたりいなかったりが多かったスペンサーの事を3人目のgtrダニー・カーワンがどう思ってたのかはわかりませんけど、ロンドンの南、オールトン近くのメンバーが暮らしていた家(ミックがジェニー・ボイド(姉はレイラのモデルになったパティ・ボイドです)と結婚式を挙げた)をタイトルにした「Kiln House」('70)は、スペンサーのロカビリー〜ロックンロール好きが前面に出て、暗いムードもあったブルーズ時代とは少し変わっています。ジャケットのイラストは正式参加前(レコーディングには参加、ノークレジットですが)のクリスティン・マクヴィーが描いたもの。

"Hi Ho Silver"は、ジョニー・バーネット&ロックンロール・トリオの”Honey Hush”がオリジナルで、フォガットのカヴァー(ロックンロール・トリオの代表曲”Train Kept A Rollin'”のリフを盛り込んだ高速ハードロック化)も知られています。

https://www.youtube.com/watch?v=SLtFX6v-RXQ

10・Eyes Of The World('82)

Mirage」に入ったリンジー曲でダイナミックな”Never Going Back Again”と言う感じ。こういう曲を聴くとリンジーバディ・ホリー・フォロワーぶりがわかりますね。動画はMigrage Tourからでこの頃のリンジーは少年みたいです。

https://www.youtube.com/watch?v=1siQIq6CGEg

11・Woman Of 1000 Years ('71)

ジェレミー・スペンサーが抜けボブ・ウエルチが加わり新たなスタートを切ったフリートウッド・マックは、脱ブルーズ・ロックの試みを徐々に進めてゆきます。正規メンバーとなったクリスティン・マクヴィーを加えた5人組で「Future Games」(’71)では、ミスティックなサウンドを聞かせます。冒頭に入った“Woman Of 1000 Years”は、ダニー・カーワンが書いた最高の1曲でしょう。一般的にはこのモスグリーン色のジャケですが日本盤はクリーム色でした。

 

 

 

12・Ask Anybody / Christine McVie

Mirage」リリース後のインターバルでやっとソロアルバムを完成させたクリスティンは、”Love's Got A Hold On Me”と”Love Will Show Us How”のポップなヒットを出しますが、”Ask Anybody”のような渋い曲もあります。これはスティーヴ・ウィンウッドとの共作で、ウィンウッドのらしいシンセが光ります。英国っぽさも満点でこのセカンドソロ「Christine McVie」からのベストトラックかも。

https://www.youtube.com/watch?v=2HwOpNnXBzs

 

13・Save Me('90)

リンジーが辞め新メンバー2人を加えた新生マックの「Behind The Mask」からのシングルがこの”Save Me”。この辺はもう完全に後追いなのですが、33位とセールス的には苦戦だったよう。とはいえ時代が一回りした今聞くとそんなに悪くない。MTV時代らしくバンドの演奏はちらちらと挿入される程度のPVです。ただ新加入の2人ージャクソン・ブラウンのところにもいた(「Lawyers In Love」の頃)リック・ヴィトーとロカビリー一家の血を引くビリー・バーネット(sswっぽいソロは名盤らしいが未聴入手困難だし)は常に、リンジーと比べられるからやりにくいだろうなあ。voはクリスティン。
 
14・Don'tLet Me Down Again('80)

バッキンガム・ニックス時代のレパートリーである"Don't Let Me Down Again”は、たまにマックのステージでもプレイされたようで80年の「Live」で貴重なライヴ・ヴァージョンが収録されました。縦横無尽に弾きまくるリンジーのgがカッコいいです。

 

 

15・Rollin’Man('68)

「Mr.Wonderful」の成功は控えめなホーンズ(スティーヴ・グレゴリー、ジョニー・アーモンドら)のサポートによる部分もあります。グリーンのgのリフと呼応したホーンズが気持ちいいR&Bの”Rollin’Man”は、グリーンとクリフォード・アダムス(マックのマネージャーで後に偽マックの事件にかかわる人)の共作。