【鷲をめぐる30曲】2・Funky New Year / The Eagles(’78)
これはもう神のお導きか!(日付のことね) 「Hotel California」の後、曲が全然作れなくスランプ状態だったバンドにレーベルからクリスマスシングルの要請があったのは78年のこと。チャールズ・ブラウンの古いブルーズをカヴァーしたA面は何とかなったもののB面をどうする?結局スタジオで即興で作ったようなジャムの”Funky New Year”はそんな感じ。ドン・フェルダーのgのイーグリーなリフをベースにファンク風に料理した小品です。パーティーでの戯言ともいえる意味のない歌詞は、深刻に煮詰まっていたバンドの危機的な状況を垣間見るようです。ひょっとしたらジョー・ウォルシュ未参加ではないか?とも思わせる演奏でもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=9UW2jgO6aEc
【名曲リレー2528】gold#2
■A Rainbow's Gold / Iron Maiden(’84)
NWOHMのグループにあってアイアン・メイデンは70’sの先人たちのカヴァーをシングルのB面に潜ませるなどしてロートル・ロック・ファンの心をくすぐります。”A Rainbow’s Gold”は、後にクローラーのvoテリー・ウィルソン・スレッサーがいたベケットの唯一作に入ったもので、“2 Minutes To Midnight”のB面。オリジナルのスピード感を残しメイデンらしく料理しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ub3RmW3fQT8
【先週の読書】
大沢在昌の「獣眼」「爆身」(共に徳間書店)は、ボディガードのキリを主人公とするシリーズで、両者とも荒唐無稽なサイキックをテーマにしながら基本線はアクションで、リアリティはないけどちゃんと着地していて心地よさあります。結構分厚い分量ですけど、サクサク読めました。
「ヨルノヒカリ」(畑野智美、中央公論新社)は生きにくい世の中を歯を食いしばりながら生きる人たちを描くことが多い畑野さんならではの作品。多様性というのはホントにさまざまなのだなあと思います。
ただいまのBGMはヴェイパー・トレイルズの「Vapour Trails」('79)なり。「ベスト・ヒットUSA」のオープニング曲が限りなく有名ですが、かつて日本ではラリー・カールトンの秘蔵グループとしてAORの文脈でジャケットもそれ風に変えられVT'sとして紹介されておりましたが、出自はイギリスでジャクソン・ハイツ、キキ・ディー・バンド、アーサー・ブラウンズ・キングダム・カムにいた連中がこうした音に活路を見いだす形で渡米したパターン。それで成功したわけでもなくたまたま"Don't Worry Baby"(サーフサイド・フリーウェイ)が番組で使われて長く親しまれてるのです。
「ベスト・ヒット・USA」のオープニング曲”サーフサイド・フリーウェイ”(”Don't Worry Baby")は邦題からしてAORの「作られたイメージ」満載ですが、ラリー・カールトンのprodでかつてVT'sとして日本で紹介されたユニットです。実はこの、ヴェイパー・トレイルズは、ナイスのリー・ジャクソンのバンド、ジャクソン・ハイツのジョン・マクバーニーがvoを取り、キキ・ディー・バンド、アーサー・ブラウンズ・キングダム・カムのメンバーから成るトリオでこれにLAのスタジオ・メンが音を付けたのが「Vapour Trails」('79)でした。このPVに映るのは上半身裸になったメンバー2人で、当時に作り替えられたLPジャケといい時流に乗るのはなかなか大変な時代でした。
https://www.youtube.com/watch?v=exJKwM0Qnhw