Another Days

tomorrow's another day、some say …

スティーヴィー、プラント

【月曜はスティーヴィー・ニックスの40曲】2・Sara('80)

ティーヴィーが2枚組「Tusk」('79)で書いた5曲はどれも印象的ですが、一番有名なのはセカンド・シングルとなった”Sara”でしょう。アルバムでは6分を超えるナンバーをシングルでは4分台に編集。アルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョンは違うのですが、まあ長いか短いかの話です。タイトルのSaraに関しては、リンジーと別れたスティーヴィーはその後ミック社長とも恋愛関係にあったといわれますが、ミックとの関係を終わらせる存在だった女性の名前とも、当時のBFドン・ヘンリーとの間に出来たけど結局は流してしまった娘(ロックスターとして生きるための苦渋の決断だったことを公式にインタヴューで語っていて、この辺のアティチュードが女性に支持されるんでしょうね)に名づけるつもりだった名前とも、言われてます。まあゴシップ的な事、プライヴェートな事はよくわかりませんけど。

エコーをかけた歌声が又スティーヴィーのけだるいムードに合っています。最初のデモは16分あったと言われていますが、不思議とこの曲あまり長さを感じさせません。最高位7位。

動画はTuskツアーでのライヴですが、このあたりからスティーヴィーのフェミニンなファッションがどんどんアガってきます。このルックスとフェミニンな衣装と低いガラガラ声というのはギャップ萌えです。

https://www.youtube.com/watch?v=9bWGy0K5VF0

 

 

 

【名曲リレー2353】little#3

■Little Sister / Rockpile with Robert Plant(’79)

カンボジア難民救済コンサートでロックパイルのステージにゲストで登場したのはデイヴ・エドモンズSwan Song仲間のロバート・プラントプレスリーの“Little Sister”を歌うのですが、エンディングを間違え、音源化&映像化されたロック史上有名なミスショットとなってしまいました(ご愛敬)。

https://www.youtube.com/watch?v=Q5XJX8sjYDE

 

【先週の読書】

「ながめせしまに」(半村良、文春文庫)は、酒場を舞台にした人情もの的短編集。性描写が意外とあります。親本は75年に徳間書店から出てるのですが78年に文庫化にあたり3編削られています。”夜泣蕎麦借着曙”(よなきそばかりぎのあけぼの)が好きです。 
「暴雪圏」 (佐々木譲新潮文庫)はこの前読んだ「制服捜査」の続編ともいえる川久保駐在もの長編。季節外れの爆弾低気圧で交通が遮断された氷の世界で、町はずれのペンションに集まる人たちは、不倫関係の清算を願う主婦、組長夫人を殺してしまった強盗犯、事務所から大金持ち逃げした会社員、道東を車で旅行中の老夫婦、義父のDVから家出した女子高生etc グランドホテル形式のサスペンスで、結末にやや不満ありますが実際の事件ならこんな感じでしょう。作者はこのシリーズをこれでやめてますが、続きまた読みたいです。
セカンド・エディションの「異色作家短編集」の②が「特別料理 」(スタンリイ・エリン、早川書房)。コツコツ読んでたら2か月以上かかってしまいました。EQMMエラリィ・クィーンズ・ミステリ・マガジン)の短編コンテスト上位作が集まっていて、あまりに有名な表題作をはじめ、結末を濁したひねったミステリ風作品が並んでいます。これまた有名なリドル・ストーリー風”決断の時”がやはり抜きんでて素晴らしい。妄想に浸りすぎの”専用列車”、悪夢の繰り返しのような”パーティの夜”(「エドガー賞全集」で既読)もいい。但し訳文がいささか古色蒼然としてるのは仕方ないかなあ(1960)。

■Think About It(’77)

「Rumours」に結局入らなかったアウトテイクの”Think About It”は、クリスティンに捧げられたナンバーで同盤の拡大ヴァージョンに入ってますし、テンポを落として初ソロ「Bella Donna」に収められました。どっちも捨てがたい昔から大好きなメロディー。

https://www.youtube.com/watch?v=C4YMg2AP0rI

https://www.youtube.com/watch?v=2-6l3JP9mEg

 

■Sleeping Angel(’81)

ほとんど知られていないこの曲は映画「初体験リッジモント・ハイ」のサントラに収録されたもので、「Bella Donna」の拡大盤に収録。ちょっと”Silver Spring”にもイントロが似たドラマティックな曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=koLyDoMgskk

 

 

 

 

 

■Dreams('77)

リアル初マックは”Go Your Own Way”ですが、好きになったのは”Dreams”でのスティーヴィーの姿からでした。くしゃくしゃにした自然体の髪型、美声ではないけどキュートな歌声などそれまでの女性ロックファッション・メイクなどとは対極のところにあった(まだこの頃は)ナチュラルな感じは、77年ロック界の最新型の妖精と言った感じでした。もちろん支える演奏力の高さ(タイトなdsなど)も魅力的でした。見事な#1ヒット。すでに別れてしまったリンジーとスティーヴィーですが(当時2つの破局したカップルがバンド内に存在し、別のメンバーと恋愛関係にあった、という常人では考えられない状態。人間関係と別にプロの仕事)、煮え切らないリンジーへの三下り半的な風にも取れるスティーヴィーの歌詞が意味深。

https://www.youtube.com/watch?v=Y3ywicffOj4

 

■Crying In The Night:Buckingham Nicks('73)

マック参加以前にスティーヴィーとリンジーが組んでいたフリッツが解散し、バッキンガム・ニックスとして独立。73年に出た唯一のアルバム「Buckingham Nicks」(Polydor)は、元ミュージック・マシーンのキース・オルセンがprodし、ワディ・ワクテル(g)も参加したこの世界は、まんま「ファンタスティック・マック」に取り入れられます。その1曲目”Crying In The Night”はアルバム・ヴァージョンと別にシングル・ヴァージョンではワディのスライドがたっぷりと聞けます。

https://www.youtube.com/watch?v=9u7w4Yx8uW8

 

■Beautiful Child(’80)

「Tusk」に入った内省的なアコースティック曲。10歳の頃の恋愛体験を思い出し、今の恋愛と重ね合わせる私的な内容の歌です。

 

 ■Storms('80)

ヒット曲ではないですが、スティーヴィーにもこうしたしっとり曲があります。「Tusk」に入った"夜ごとの嵐"です。ここでのstormは恋人と心が離れつつある主人公の心のさまで、「今まで一度だって 青くて静かな海でなんてなかった、いつだって嵐だったわ」と歌われます。結構深いです。

 

■Paper Doll('92)

92年のボックス「The Chain」に収録された新曲の一つでスティーヴィーがvoを取ります。とロピカルっぽいリズムが今までなかった味わいでもありますが、ボックスの1曲目にしては弱いかな。リンジーが辞めてこの時期はビリー・バーネットとリッキー・ヴィトーが加わっていました。

 

■Stand Back:Stevie Nicks('83)

Mirageツアー後リリースされたスティーヴィーのセカンドソロ「Wild Heart」は従来路線と80's的デジタル・ロックの二本建てで、マックのステージでも披露された”Stand Back”は後者。ノークレジットでプリンスがシンセを弾いてるという話は知りませんでした。最高位5位でこの成功でしばらくスティーヴィーのソロはこの路線となります。

 

 ■Leather And Lace:Stevie Nicks('81)

かつての恋人ドン・ヘンリー(ヘンリーとの子供を流産したということを公式にインタヴューで答えてるのはすごい)とのデュエットになる”Leather And Lace”は「Bella Donna」からのセカンドシングル。元々はウエイロン・ジェニングスとジェシ・コルター夫妻に書かれた曲(結局使われなかった)とのこと。イーグルス休止中だったのでヘンリーの歌声にはさすがにシビレた記憶。ただこの二人が公式に共演した映像はないです。最高位8位。

 

 ■Landslide('75)

「ファンタ」に入ったアコースティックなバラードでリンジーのアコギをバックに歌われます。元々はバッキンガム・ニックス時代のレパートリーのよう。父親に捧げられています。

動画は75年のツアーからのライヴ音源。95年の「The Dance」からシングルカットもされています。

 

■Stop Draggin’ My Heart Around:Stevie Nicks With Tom Petty &The Heartbreakers('81)

ティーヴィーの初ソロ「Bella Donna」は全面的にトム・ペティがバックアップしてるわけでなくて、マイク・キャンベル(g)、スタン・リンチ(ds)が何曲かに、ベノモント・テンチ(kb)がほぼ全曲に参加。シングルになったこの曲にはハートブレイカーズがフルで参加してます。

最高位3位とソロ活動の出だし好調のヒットとなりました。

 

 ■Edge Of SeventeenStevie Nicks('81)

ティーヴィーの初ソロは、よりロックっぽいものと西海岸のカントリーロック路線のものに大きく分かれますが、ワディ・ワクテルがポリスの”Bring On The Night”のgのリフを参考にしたという”Edge Of Seventeen”は前者。最高位11位まであがりました。息の合った女性コーラスは、スティーヴィーの義妹ロリ・ペリーとシャロン・セラーニでこの2人は現在まで活動を共にしています。

 

 ■Wild Heart:Stevie Nicks(’83)

セカンドソロ「Wild Heart」からのタイトル曲。デジタルロック路線でなく従来路線。元々「Mirage」に入ったリンジーの"Can't Go Back”のリズムトラックが、”Wild Heart”に使われていたことはスタジオリハの動画でも明らかで、そっちはそっちで楽しい。

 

 ■Bella Donna:Stevie Nicks('81)

「Tusk」の頃より断続的にレコーディングを続けてきたスティーヴィーの初ソロ「Bella Donna」の完成は81年のこと。タイトル曲はそれまでのマック時代のスティヴィー像を拡大したようなフェミニンなもの。