Another Days

tomorrow's another day、some say …

パンチン、ビリジョ

【月曜の女たち】バーバラ・オミーラ(Barbara O'Meara)
 
Transatlanticというフォーク系のレーベルには珍しかったグラム風のパンチン・ジュディ(Punchin’Judy)は、ジャニス・タイプのシャウト型voのバーバラをフィーチャーしたスレイド風味のバンド。1枚だして74年には解散しています。グラム風というよりはハードロックを目指してた感じはありますね。
 
【名曲リレー1553】you#2
■Everybody Loves You Now / Billy Joel(’71)
ビリー・ジョエルのデビュー作「Cold Spring Harbour」はFamily Productionからリリースされセールス的にはさっぱりで、ブレイク後もしばらくは長らく入手困難だったレアアイテムでした。そのジャケットのムードからして、それ以前にいたアッティラやハッスルズ同様(どちらもジョエルブレイク後に発掘されました)全然違う音楽なんだろうと思ってたのですが、全然そんなことなくそのままでした。”Everybody Loves You Now”はブレイク後無名の昔の曲ばかりを集めたライヴ盤「Songs In The Attic」にも収録されたもので、テンポいいpianoが軽快なナンバーです。
 
 
【先週の読書】
21030■ぞぞのむこ / 井上宮(双葉社
 読書グループのFB友に教わった作品。怪談というかホラー小説なのですが、じわじわ恐怖を盛り上げてゆくタイプでなく、なんだかわからないけどおぞましいものが急にガーンとくるショッカータイプですね。諸手を挙げて賛成ではないけどユニークな作品集でした。最初「ぞぞのぬこ」と空読みしててそれはそれで怖い(^^) 忌町と言われる漠市(ばくし)を舞台にした連作集。作者はこれがデビュー作(2018)。
 
21031■ミステリー・ゾーン / ロッド・サーリング(文春文庫)
 50's終わりから60's初めにかけて人気となったSF~ファンタステック系TVシリーズの”Twilight Zone”(ミステリー・ゾーン)が、80'sのはじめにスピルバーグによって映画化され、ちょうどレンタルヴィデオの盛り上がり(カウチポテト(死語)って言葉覚えてます?)もあってこうしたファンタスティック系の映像作品あふれてました。ちょうどその映画化に便乗して番組ホストで脚本も手掛けたサーリングの作品から編まれたアンソロジーが文春文庫から出て、結局このシリーズは第4集まででるヒットとなりました(古書店でもそこそこの値段がついてるとか)。これはその第1集で、気が付いたら誰もいない町に一人きりという「誰もいなくなった町」や、仕事に疲れた男が帰宅の通勤列車で地図にない駅に止まり降りたら~という「ウィラビーに停車」などP・K・ディックやブラッドベリ、R・マシスン的世界が広がります。ただ最後にホストが出てきて一言述べるという番組の性格上、オチの後にやや無粋な説明があって興ざめな部分もあります。群集心理の怖さを扱った「メープル通りの怪」は出色の出来(1983)。
 
何度も挫折したこれですがやっと読了。やはり共感できない主人公の話だと読むのもつらい。文庫版の豊崎由美さんの解説がかなり的をついてます。「文体や作品世界の雰囲気が一見柔らかそうなのでガーリーと称されがちな柴崎がかなりの曲者」(大意)というのはわかります。映画化されたものが俳優のスキャンダルで話題になってしまいましたが、男女の違いはあれど伝染してしまったとしたら「呪い」のようなものだなあと無責任に思いました。恋愛小説ですが正直この展開はないなあ…とも思ったのです(2010)。
 
21034■祝祭と予感 / 恩田陸幻冬舎

「蜜蜂」は、かつて演劇をテーマにした青春譚「チョコレート・コスモス」と言う傑作を書いてますが、これはそのピアノ・コンクール版でピアニスト版ガラスの仮面、といった内容です。分厚い本ですが一気です(これは初読の感想)。その後2度目の本屋大賞、そして直木賞を受賞し、一般人にも名前は広く知れ渡る様になりました。文庫化の際のあとがきに詳しいですが、長い時間かけてピアノ・コンクールを取材し、幻冬舎のPR雑誌「星星峡」「ポンツーン」(ともに今はない)に連載されたもの。ジャンルでいえば、音楽小説と青春ものなので深みはないけど、風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロス、高島明石の4人のコンテスタントの話を中心に熱く迫ります。2年ぶりの再読(2016)。その3年後に出たスピンオフ前後日談が「祝祭」。前作が大ヒットしたことで関連書籍やCDがでて、そこでしか読めなかったものをコンパイル。余白の多さ、あっけなさに出た当初は鼻白んだ記憶ありますが、続けて読むと結構沁みます。高島明石のエピソード漏れが惜しい。あと脇役の奏(かなで)のキャラって捨てがたいんだよな(2019)。