Another Days

tomorrow's another day、some say …

レインボウ、フィート

 

【実況録音盤を聞く水曜】3・Rainbow On Stage('77,Oyster)

 

ブラックモアズ・レインボウとしての76年の初来日を中心に(1曲以外は武道館)、ミュンヘン音源を加えた2枚組ライヴ(当初は「Chase The Rainbow」というタイトルだったようです)。バンド名から「ブラックモアズ」は取れてはいますが、リッチーのワンマンバンドであることは明白です。NWOHMのブームが来るまで、76年頃から英ハードロックはゆっくりと低迷期に向かう(私見)なか、日本とドイツでは、クラシック音楽を背景にした、ドラマティックなレインボウの中世風ゴシック・ハードロックは圧倒的な人気があり、このライヴ盤は、リアルタイムでみんな買って持ってるLPでした。

ライヴ盤リリース時点でbとkbが解雇されたというニュースは伝わってましたが、新メンバーがなかなか決まらず、苦肉の策でライヴ盤を出すことになったという裏の事情もあったようです。選曲はほぼファーストからセレクトで評判のよかった直近の「Rising」からは、キャッチーにまとまった名曲”Starstruck”をメドレーの中でさらっと歌っただけなのが残念(この”Man On The Silver Mountain”メドレーに挟まれるブルーズは3期パープルのステージでもやってたやつですが、ブルーズにはあまり聞こえませんし、トニー・カレイのシンセのソロを酒井某氏がさんざんけなしておりましたが)。曲に入る前の煽りも、ギター壊すショー的な部分も(昔から、こういう楽器を破壊するパフォーマンスは個人的にはあまりピンとこない)リッチー信者にはたまらないものがあったのでしょう。練りこんで作ったスタジオ盤と比べてラフであるものの長い。新曲”Kill The King”を含むA面ばかり聞いてた記憶があります。

しかしレインボウのようなバロック・ハードロックは、よく考えると結構超個性的な存在で、同時代にはなかなか似たような(ムードの)バンドはいなかった(スコーピオンズはちょっと違うか?)気が。このあとどうしても米でヒットシングルが欲しくて徐々にポップ路線に向かううちに、ディオやコージーも辞めてしまうことになります。イギリスでハードロックが復権した80's初めには、レインボウのハードロックは本国での主流とはずいぶん別のものな気がします。

 

https://www.youtube.com/watch?v=rxyU8a9zSdI

https://www.youtube.com/watch?v=HDY7tTMnqys

【名曲リレー2803】lose#3

■Hate To Lose Your Lovin' / Little Feat(’88)

PPLのクレイグ・フラーとフレッド・タケットを加えた再結成フィートの「Let It Roll」のオープニングを飾ったニュー・オーリンズ・テイストのナンバー。リリース当時ローウェル時期と比べる記事が多かったですが、それ言っちゃオシマイなのになあと思ったものです。デジタル時代に結構生っぽい演奏を刻んでいました。女性コーラスはレネー・アーマンドやショーン・マーフィーらが参加。

https://www.youtube.com/watch?v=Cva6Es9igz4

(3)Strangers In The Night / UFO ('79,Chrysalis)

78年の「Obsessions」の全米ツアーの模様を収めたUFOの2枚組ライヴ。フィル・モグ(vo)、マイケル・シェンカー(g)、ピート・ウェイ(b)、アンディ・パーカー(ds)、ポール・レイモンド(kb,g)の全盛期のメンバーですがリリース直前にシェンカーが脱退しています。折からのニュー・ウェイヴの台頭もあってハードロック(とりわけイギリスの)衰退期に向かいつつあったこの時期、気を吐いていたヴェテランはシン・リジーとこのUFOくらいで日本とドイツで異常な人気だったレインボウは別にして、ジューダス・プリースト、ストラップス、Mr.ビッグといった中堅バンドはぱっとせず(個人的意見)、NWOHMのブーム前夜のこの時期はもう英ハードロックは終わったのかも?という気配も感じてたのです(さらに個人的意見)。

少なくともステージでは、あからさまなアメリカナイズというわけでもなかったこのライヴ盤で、正直UFOというバンドをおさらいした感じでしたが、”Only You Can Rock Me”、”Out In The Streets”、”Doctor Doctor”といったナンバーが眩しかった。マイケル・シェンカーのgは疾走する曲や泣かせる曲など、弾きまくりで叙情的なフレーズを連発するシェンカーおよびUFOのサウンドには当然ですがブルーズからの影響は薄く、意外とバッジー的に感じる部分もあったと今回の聞き直しで感じました。ジャケは引き続きヒプノシスで、ホラーSF映画っぽいです。

 

(4)The Allman Brothers Band At Fillmore East Deluxe Edition (Mercury '03)

デュアン・オールマン(g)をフィーチャーした時期のオールマン・ブラザーズ・バンドの強力な2枚組ライヴは、NYのフィルモア・イーストでもの。長尺のジャム的な音源を積極的に入れた画期的な1枚でした。なんといってもサザンロックが何なのかも知らなかった高校生にガツンと食らわせた必殺のイントロの”Statesboro Blues”。地を這うような(天高く空を駆けるゆえにskydogとも言われたデュアンのスライド、僕には地面すれすれのところを這うように忍び寄る印象でした)スライドがすごかった。この時代('71)のフィルモアの音源は、「Eat A Peach」やデュアンの「Anthology」などに分けられ、そうしたものをまとめたのがDeluxe Editionとなる03年のCDで(その前に「Filmore Concerts」という2CDも出てました)、個人的にはこれが決定版だと思います。90'sに初来日した際は仕事帰り不覚にも寝入ってしまって、起きたらまだやってた、”Mountain Jam”の心地よさ(デッドやオールマンの長い曲はOKなのに、プログレ系の長い曲はNGな僕)も印象的です。

 

(5)BBC  Radio 1 Live In Concert / Matching Mole('94)

ソフト・マシーンを辞めたロバート・ワイアットが組んだマッチング・モウルは、スタジオ作品では永遠の美しさを封印したような”O Caroline”が有名ですが、ライヴではかなりフリーフォームな演奏集団だったようで、デリヴァーのフィル・ミラー(g)、クワイエット・サンのビル・マコーミック(b)、キャラヴァンのデイヴ・シンクレア(kb)脱退後のデイヴ・マクレエ(kb)どれも達者な人たち。このBBCライヴは、パリス・シアターでお客さんを入れてのライヴですが、メドレー形式で延々と演奏され最後にこれがライヴだったことを再確認する拍手が入る構成。全部で30分に満たない内容ですが、冷ややかなエレピ、ファズがかかったgなど起伏がある演奏が続きます。冒頭の”Instant Pussy”はワイアットの加工されたvoがこだまする独特の世界。

https://www.youtube.com/watch?v=vtVsh6-bj1E

 

(6)Live Adventures Of Mike Bloomfield & Al Kooper('69)

正直歴史的価値しか今はあまりないと思う「フィルモアの奇蹟」ですが、ホワイト・ブルーズがトレンドだった当時、ロックファンの教養として聞くべき1枚に必ず入ってた模様。ジャズの世界ではあたりまえだった「セッション」とか「ジャム」という概念をロックの世界に導入したのは「Super Session」というアルバムで、今度はそれをライヴで再現しようとしたのが本作。ライトハウスのスキップ・プロコップ(ds)とジョン・カーン(b)にクーパーとブルームフィールドが参加。白熱した演奏というよりはリラックスしたジャム・セッション。レイ・チャールズ、S&G、トラフィックザ・バンドなどのカヴァーも含まれています。”Dear Mr.Fantasy”はトラフィックのデビュー作に入ったタイトル曲でここでは、歌の合間に各人のソロがたっぷりフィーチャーされていて、ビートルズの”Hey Jude”のフレーズをなぞるのです。「Super Session」でもそうでしたがブルームフィールドが不眠症を抱えながらの熱演で、こちらもダウンしてカルロス・サンタナやエルヴィン・ビショップがヘルプに入る場面も。

 

(7)Song Of Yesterday Disc4 / Free(’)

フリーの5CDボックス「Song Of Yesterday」はレアテイクばかり集めた画期的な充実した箱ものでした。Disc4は「Free Live」とは一切かぶらないCroydonとSunderlandでのライヴで「Free Live」が71年のツアーだったのに対し前年70年のライヴで、「Highway」までの楽曲が収められています。

 

(8)Blow Your Face Out / J Geils Band('76)

J・ガイルズ・バンドR&B~ソウルとブルーズをベースにした白人によるロックンロール・バンドで、結構特殊な個性の存在でした。白人ブルーズ・ロック・バンドは多かったけど、同時代のノーザン・ソウルを下敷きにしてライヴというよりもショーとしてこれだけ盛り上げるバンドも当時珍しかった。顔であるピーター・ウルフ(vo)の存在もありますが、当時のバンドを支えてたのはネーミング通りJ・ガイルズ(g)とマジック・ディック(harp)でした。3枚のライヴ盤があって、1枚ものの「Live」('72)が人気ですが、77年の「狼から一撃」の2枚組の方がなじみあります。地元ボストンでのライヴで、帰って来たぜ~的な凱旋ムードがMCにも表れています。カヴァーとオリジナルが半々くらいですが、当時の僕の知識では全部オリジナルに聞こえます。決めの1曲は”Houseparty”、”Musta Got Lost”、”Detroit Breakdown”あたりでしょうか。とにかく曲の盛り上げ方がロックというよりはソウル的。

 

(9)Made In Japan / Deep Purple('72)

当時は日本のみのリリースでしたが内容がよかったので世界的にリリースしたらベストセラーになってしまった、という逸話があるディープ・パープルの初来日3日間のドキュメント2枚組。日本では「Live In Japan」のタイトルでリリースされジャケットは武道館ですが中身はほとんど大阪フェスティバル・ホールだとか、”Smoke On The Water”のイントロ成功テイクはこの録音だけだとか、実はイアン・ギランは辞めるとマネージメントに伝えてあったとか、様々な逸話が残されていますし、ある世代にはハードロックの洗礼を受ける通過儀式的なライヴ盤でした。今でもよく聞くのは20分近い”Space Truckin’”で歌が終わるのが5分過ぎで以後org/synそしてgのインプロヴィゼーションが続きます。この後半部分は1期のレパートリーの”Mandrake Root”や”Fools”からの引用です(昔は全然気づかなかったけどホルストの「木星」からの引用もありますね)。

 

(10)Lotus / Santana('74)

73年のサンタナ初来日(大阪)の模様を完全に収めた3枚組ライヴ。横尾忠則による22面ジャケットが話題になりそれを完全に再現した紙ジャケCDも後にリリースされています。ラテンの熱っぽい演奏を前面に打ち出した初期サンタナ(グレッグ・ローリーニール・ショーンがいた)とはメンバーも変わったニュー・サンタナ・バンドが演奏を担当し(その間に宗教的になったソロを挟んでいます)ています。新voレオン・トーマス(元カウント・ベイシー楽団)、トム・コスター、リチャード・カーモード(kb)以外は、マイク・シュリーヴ(ds)以下おなじみのメンツ。初期の曲では官能的なgにリズム隊が絡む瞬間が熱い。冒頭に日本人MCが登場して1分間の黙祷を捧げる”Meditation”があります。

 

(11)Certified Live / Dave Mason('76)

「情念」という邦題が付いた2枚組ライヴで、一つのショーをまるっと(LAのユニヴァーサル・アンフィシアターでの75年のライヴ)収録したノー・オーヴァーダブなもの。ジェラルド・ジョンソン(b)、リック・ジェイガー(ds)、マイク・フィニガン(kb,vo)、ジム・クリューガー(g,vo)によるメイスン・バンドに演奏は適度にファンキーでよくこなれています。トラフィック時代のナンバーから、カヴァーまで多彩。ファンキー・タッチの”Feeling Alright”には最初驚いたのですが… 途中アコースティック・セットがあってイーグルスの”Take It To The Limit”が取り上げられる場面も。トラフィック時代もライヴでやってたスペンサー・デイヴィス・グループの”Gimmie Some Lovin'”がハードロック風なのが面白い。

 

(12)801Live