Another Days

tomorrow's another day、some say …

51年5月7日にバーミンガムで生まれたバーナード・ジョン・マースデンは、10代のころからクロックワーク・マウストラップというセミプロバンドに加わっていましたが、72年にラリー・ウォリスがピンク・フェアリーズ参加の為抜けたUFOに半年間参加。

この時代の音源は73年6月の独レクリングハウゼンでのUFOのライヴブートで何曲か聞けます。

https://www.youtube.com/watch?v=oaKTW8saAt0

UFOを抜けたバーニーはジェスロ・タルから派生したワイルド・ターキーの末期に参加。この時のメンツはグレン・コーニック(b)、ゲイリー・ピックフィード・ホプキンス(vo)、トゥイーク・ルイス(g)、スティーヴ・ガール(kb)、ケヴィン・カーリー(ds)にバーニー(g)。「Rarest Turkey」('02)というコンピにこの時期の”Soldier Boy”が聞けます。まるでサザンロックなイギリスのアメリカな音です。またBBCのライヴでもスライドたっぷりのアメリカンな世界が展開。この後バンドは解散しています。

https://www.youtube.com/watch?v=CeCSUX8N0us

74年のバーニーは、前年に元TYAのチック・チャーチルのソロに参加した流れで、レオ・ライオンズがprodしたブリジット・セント・ジョンの「Jumble Queen」('74)にチャーチルと共に参加。出番はそう多くないですが”Some Kind Of Beautiful”で印象的なgソロを弾きます。

https://www.youtube.com/watch?v=dPedbxc_xuk

またジェフ・ベック・グループにいたコージー・パウエルがRAKと契約しdsをメインにしたソロシングルを出す際のバンド、コージー・パウエルズ・ハマーにも参加。ベック・グループからクライヴ・チャーマン(b)、ベドラムからフランク・エイエロ(vo)、そしてドン・エイリー(kb)にバーニーという布陣で”Man In Black”と”Na Na Na”(どっちも全英トップ10前後のヒットとなりました)をリリース。TOTPのイントロが付いた”Na Na Na”です。

https://www.youtube.com/watch?v=12ENohs_QRM

ワイルド・ターキー時代の仲間スティーヴ・ガールに誘われ、アラン・シャックロックの後任としてベイブ・ルースに加わったのが75年。ここまで友人の紹介というのが多いのがバーニーの人柄を表わすエピソードです。ベイブ・ルースでは2枚参加。とりわけジェニー・ハーンも辞めて全く別のバンドとなってしまった最終作「Kid's Stuff」ではドン・エイリーやニール・マレイの参加あってバーニー中心の1枚。極めつけはラストの”Living A Lie”でパウエルズ・ハマー時代のレパートリーだとか。ブルージーに決めるバラードになっています。

https://www.youtube.com/watch?v=_5dkcR8bqZ4

ベイブ・ルースが解散して、さてどうするべ、と思案中のバーニーを救ったのはまたも友人のヘルプでコージーが推薦して決まった次の仕事はパープル解散後、ジョン・ロードイアン・ペイスが旧友トニー・アシュトンと始めたリラックスしたR&Bのペイス・アシュトン・ロード。77年に出た「Malice In Wonderland」ではバーニーがセカンドvoを取るナンバーが多く入っています。スタジオ作には洩れましたがライヴではジェームズ・テイラーのブルーズ”Steamroller”をカヴァーし弾きまくります。個人的にバーニーの名前を知った1枚でした。

https://www.youtube.com/watch?v=ffqZ4cJvRzk

予想通りPALが解散すると、今度はパープルのvoだったデイヴィッド・カヴァーデイルの新バンドホワイトスネイクに参加します。旧知のニール・マレイ(b~元ギルガメッシュ)やミッキー・ムーディー(g~元ジューシー・ルーシー)、ピート・ソリー(kb~元パラディン)、デイヴィッド・ダウル(ds~元ストリートウォーカーズ)といったメンツのキャリアから泥くさいファンキーな音を得意とする現場ですが、ヒットにつながる目標とシーンのハードロックに対する逆風から苦戦。しかし元パープルのメンバーを一人ずつ加えてゆく方式でオールドファンを煽り、ブルーズに根差した伝統的なロックに当世風のポップな味わいを加え徐々に人気を得てゆきます。ブルーズスネイクといわれるこの時期の代表曲でバーニーのダブルネックとミッキーのカウボーイハットが懐かしすぎる"Ain't No Love In The Heart Of The City"('78)です。

https://www.youtube.com/watch?v=9-0AiRqvpMw

日本でも異例のヒットとなったコージー・パウエルのソロ「Over The Top」('78)にももちろんバーニーはあまり目立ちませんが参加。自作の”El Sid”を提供しています。ハマーの3人(コージー、バーニー、エイリー)が共演しbassがジャック・ブルースという何というムネアツな世界なんでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=xliKOC2_4t8

運気上昇の78年ついにバーニーはソロアルバムに着手。念頭にあったのはコージーのやつですが、書き溜めていたポップなメロディーの歌もの、ブルージーなインスト、さらにフュージョン的なインストと、多彩な魅力を発揮。この「And About Time Too」は日本のTrashというトリオ内のレーベルが原盤で、本国ではParlophoneから出ております。

当時パープルのマネージメントをやってたジョン・コレッタが独立し新たにTrashと契約という話も広告にはありましたが、長くは続きませんでした。

 

ホワイトスネイクにおける最初のリードvo曲が「Lovehunter」の”Outlaw”で、カヴァーデイルのソウルフルな歌声とは変わったポップな味わいが印象的でした。そのムーディー=マースデン=マレイのクラシックラインナップの頂点が"Fool For Your Loving"(’80)あたりでしょう。ただこの勢いは81年の「Come An’Get It」あたりまでで、この後バンドは分裂。ハードロックをビジネスと考えカヴァーデイルは全米に打って出るため腕利きを各地より招集するスタイルを取りメタルスネイク化してゆくのでした。

https://www.youtube.com/watch?v=WtznhhKOW5k

ホワイトスネイク分裂中の81年にバーニーはセカンドソロ「Look At Me Now」を完成させてますが、ムーディーとカヴァ抜きのホワイトスネイクがバックで前作のようなヴァラエティに富んだ形ではなくあくまでもハードロックの範疇で逆にこじんまりしすぎの印象を受けます。84年にアラスカという新バンドを率い再スタートを切りますが、米市場を意識したAOR歌謡ロックでちょっと好みではないです。85年のセカンド「The Pack」からの”SOS”。kbは旧友ドン・エイリー。

https://www.youtube.com/watch?v=pOc0fUp4gG8

アラスカの商業的失敗からいくつかのメタル系の若手バンドのセッションで過ごすこと数年、旧友ムーディーとのムーディー・マースデン・バンドとして復帰したのが91年でした。dsはリンゴの息子のザック・スターキー、bassはジャズ・ロクリーという人で「Never Turn Our Back On The Blues」はブルーズのカヴァーとホワイトスネイクの代表曲によるライヴ録音でした。リズム隊を代え活動を継続する一方、98年にジョン・ランド(vo)を迎えてスネイクスを結成。原盤は日本のキャニオン・インターナショナル!98年にはもう1枚「Live In Europe」というホワイトスネイク時代のレパートリーを再演したライヴ盤が出てこれはブルーズスネイク好きにはたまらない魅力となりました。ただメンバーと方向性に相違が出て、バンドは解散しています。ドン・エイリー参加。

https://www.youtube.com/watch?v=bmuS8LAgcMQ

話は前後しますがスネイクス以前の95年にブルーズのカヴァー「Green And Blues」を久々のソロとしてリリース。こちらはフレディー・キングの”Hideaway”で始まるゴキゲンな内容で、初期のフリートウッド・マックにも通じる感じです(アルバムタイトルはピーター・グリーンに引っ掛けてるんでしょうね)。

https://www.youtube.com/watch?v=IeanR_Ac7TE

スネイクスが解散すると今度はニール・マレイ(b)も加わりカンパニー・オブ・スネイクスが誕生。再びブルーズスネイク時代のレパートリーを中心に2枚出しています。01年のファーストが「Here They Go Again」というのが笑えます。エイリーも再び参加しトリビュート・バンド的な色合いも濃くなってきております。カンパニー・オブ・スネイクスはメンバーの頭文字を取ってM3を名乗り03年に「Classic Snakes Live」を出します。やってる事はほとんど同じですが、voにレインボウで歌ってたドゥギー・ホワイトが加わってることが面白い。dsはジェフ・ベックやCHARとやってたジム・コプリー。

https://www.youtube.com/watch?v=unatctcEUjQ

ホワイトスネイク的なM3の活動を音楽性の相違とはいえ、カヴァーデイルが本心どう思っていたのかはわかりませんが、