Another Days

tomorrow's another day、some say …

JWA、アードヴァーク

【実況録音盤を聞く水曜】1・Live / Johnny Winter And ('71,Columbia)

色々問題があって実体験のライヴ鑑賞は少ないのですが、ライヴ盤は大好きなのです。

70年にリック・デリンジャー含むマッコイズのメンバーと合体しジョニー・ウィンター・アンドという4人組を名乗ったジョニー・ウィンターは、同名のスタジオ盤1枚出してますが、そっちはブルーズを封印したような内容でロック色が濃い1枚でした。そのあとに出たこの「Live」では、怒涛のロックンロール+ブルーズで結構はじけています。長尺の"It's My Own Fault"での弾きまくるブルーズgのインパクトあり。当時としてもナツメロ的な50'sロックンロールメドレー、チャック・ベリーストーンズのストレートなカヴァーが並んでます。個人的なベストトラックはウッドストックでも聞かれたブギの”Mean Town Blues”。ここではデリンジャーの存在もあって2本のリードgという感じもあります。録音場所はNYのフィルモア・イーストやマイアミなど、70年のツアーから。ヘロイン中毒復帰後のライヴ盤「Captured Live」('75)もありますがこっちをセレクト。77年のCBSソニー設立10周年の1500円のロック名盤シリーズで再発され、ジャケのカッコよさに惹かれながらその時はパスしたのは若気の至り。

 

【名曲リレー2789】put#3

■Put That In Your Pipe And Smoke It / Aardvark(‘)

暴力的なオルガンロックとして知られるアードヴァークは、何でもありのアイディア勝負の時代だったあの頃の英ロックらしい若さに満ちたアルバムをDeram/Novaから出しています。アンダーグラウンド臭の濃い1枚でスティーヴ・ミリナーの弾くorganが強力。同時期のパープルやナイス、アトミック・ルースターあたりに通じるものがあります。

https://www.youtube.com/watch?v=FqcSf67NarM

(2)Here At Last...Bee Gees Live('76,RSO)

長いキャリアの中で意外ですがこれがビージーズ初のライヴ2枚組。一時期の低迷を脱しダンス・ミュージックに移行した作品群のあとリリースされましたが、「Saturday Night Fever」前夜で5月にこのライヴが出て、ここからのシングルがチャートインしてるうちに「SNF」からの先行シングル”How Deep Is Your Love”がぐんぐんチャートを上がってくるという状況であっというまにこのライヴ盤よりも「SNF」の方が話題となってディスコ・ビージーズの話になっていってしまったのはちょっと残念。初期のヒット曲はもちろん直近の「Main Course」「Children Of The World」の曲を中心にダンサブルだけでなくハーモニーを生かしたミディアムな曲も素晴らしい。個人的なベストは、後にオリヴィア・ニュートン・ジョンがカヴァーした”Come On Over”かな。

バックはアラン・ケンドール(g)、ブルー・ウィーヴァー(kb)とデニス・ブライソン(ds)のエーメン・コーナー組に、ジョー・ララ(perc)やジョーイ・マーシア(g)も参加しています。

https://www.youtube.com/watch?v=4JmZlJWRp94

 

Live from Columbia Studios, Hollywood 9/30/1971 / Poco('10,Legacy)

ポコのライヴというと初期は「Deliverin’」中期は「The Last Round-Up」で決まりなんですが、ジム・メッシーナ(gが抜けポール・コットンが加わった時期の発掘音源が本作で、71年のライヴ(ホールライヴではなく、スタジオ・ライヴに近い形でオーディエンスの反応が低く抑えられてるのがちょっと残念)。注目は出たばかりの「From The Inside」からの数曲で、カントリーロックと呼ぶには力強すぎる演奏も。精神的支柱はリッチー・フューレイでしょうがコットンの加入は演奏力を高めるうえで大きくプラスになっています。

https://www.youtube.com/watch?v=0Z3B4TBEVyQ

 

Rainbow On Stage('77,Polydor)

パープルは好きでもレインボウはそうでもない(逆も可)という人は少数なのかわかりません。リッチー信者でもないので、レインボウへの思い入れはそんなにないですが、このライヴ盤は、リアルタイムでみんな買って持ってるLPでした。世界的に英ハードロックが衰退に向かう時期でしたが、日本とドイツでは、クラシック音楽を背景にした、泣かせる構成のドラマティックなレインボウの楽曲群は圧倒的な人気がありました。

ブラックモアズ・レインボウとしての76年の初来日を中心に(1曲以外は武道館)、ミュンヘン音源を加えた2枚組ライヴ。当初は「Chase The Rainbow」というタイトルだったらしいです。「Rising」の布陣で2枚のLPからセレクト。こってりとしたロニー・ジェイムズ・ディオの呪い声がインパクトあります。個人的にはキャッチーにまとまった”Starstruck”をメドレーの中でさらっと歌われてただけなのが未だに納得いきませんけど(^^) ただ米マーケットでの成功を夢見るリッチーは、ジミー・ベイン(b)とトニー・カーレイ(kb)をクビにするもなかなか次のメンバーが決まらず、またカーレイの方が先に米で成功を収めたこと(プラネットPやソロ)に内心穏やかではなかったでしょうねえ。

 

(3)Strangers In The Night / UFO ('79,Chrysalis)

78年の「Obsessions」の全米ツアーの模様を収めたUFOの2枚組ライヴ。フィル・モグ(vo)、マイケル・シェンカー(g)、ピート・ウェイ(b)、アンディ・パーカー(ds)、ポール・レイモンド(kb,g)の全盛期のメンバーですがリリース直前にシェンカーが脱退しています。折からのニュー・ウェイヴの台頭もあってハードロック(とりわけイギリスの)衰退期に向かいつつあったこの時期、気を吐いていたヴェテランはシン・リジーとこのUFOくらいで日本とドイツで異常な人気だったレインボウは別にして、ジューダス・プリースト、ストラップス、Mr.ビッグといった中堅バンドはぱっとせず(個人的意見)、NWOHMのブーム前夜のこの時期はもう英ハードロックは終わったのかも?という気配も感じてたのです(さらに個人的意見)。

少なくともステージでは、あからさまなアメリカナイズというわけでもなかったこのライヴ盤で、正直UFOというバンドをおさらいした感じでしたが、”Only You Can Rock Me”、”Out In The Streets”、”Doctor Doctor”といったナンバーが眩しかった。マイケル・シェンカーのgは疾走する曲や泣かせる曲など、弾きまくりで叙情的なフレーズを連発するシェンカーおよびUFOのサウンドには当然ですがブルーズからの影響は薄く、意外とバッジー的に感じる部分もあったと今回の聞き直しで感じました。ジャケは引き続きヒプノシスで、ホラーSF映画っぽいです。

 

(4)The Allman Brothers Band At Fillmore East Deluxe Edition (Mercury '03)

デュアン・オールマン(g)をフィーチャーした時期のオールマン・ブラザーズ・バンドの強力な2枚組ライヴは、NYのフィルモア・イーストでもの。長尺のジャム的な音源を積極的に入れた画期的な1枚でした。なんといってもサザンロックが何なのかも知らなかった高校生にガツンと食らわせた必殺のイントロの”Statesboro Blues”。地を這うような(天高く空を駆けるゆえにskydogとも言われたデュアンのスライド、僕には地面すれすれのところを這うように忍び寄る印象でした)スライドがすごかった。この時代('71)のフィルモアの音源は、「Eat A Peach」やデュアンの「Anthology」などに分けられ、そうしたものをまとめたのがDeluxe Editionとなる03年のCDで(その前に「Filmore Concerts」という2CDも出てました)、個人的にはこれが決定版だと思います。90'sに初来日した際は仕事帰り不覚にも寝入ってしまって、起きたらまだやってた、”Mountain Jam”の心地よさ(デッドやオールマンの長い曲はOKなのに、プログレ系の長い曲はNGな僕)も印象的です。

 

(5)BBC  Radio 1 Live In Concert / Matching Mole('94)

ソフト・マシーンを辞めたロバート・ワイアットが組んだマッチング・モウルは、スタジオ作品では永遠の美しさを封印したような”O Caroline”が有名ですが、ライヴではかなりフリーフォームな演奏集団だったようで、デリヴァーのフィル・ミラー(g)、クワイエット・サンのビル・マコーミック(b)、キャラヴァンのデイヴ・シンクレア(kb)脱退後のデイヴ・マクレエ(kb)どれも達者な人たち。このBBCライヴは、パリス・シアターでお客さんを入れてのライヴですが、メドレー形式で延々と演奏され最後にこれがライヴだったことを再確認する拍手が入る構成。全部で30分に満たない内容ですが、冷ややかなエレピ、ファズがかかったgなど起伏がある演奏が続きます。冒頭の”Instant Pussy”はワイアットの加工されたvoがこだまする独特の世界。

https://www.youtube.com/watch?v=vtVsh6-bj1E

 

(6)Live Adventures Of Mike Bloomfield & Al Kooper('69)

正直歴史的価値しか今はあまりないと思う「フィルモアの奇蹟」ですが、ホワイト・ブルーズがトレンドだった当時、ロックファンの教養として聞くべき1枚に必ず入ってた模様。ジャズの世界ではあたりまえだった「セッション」とか「ジャム」という概念をロックの世界に導入したのは「Super Session」というアルバムで、今度はそれをライヴで再現しようとしたのが本作。ライトハウスのスキップ・プロコップ(ds)とジョン・カーン(b)にクーパーとブルームフィールドが参加。白熱した演奏というよりはリラックスしたジャム・セッション。レイ・チャールズ、S&G、トラフィックザ・バンドなどのカヴァーも含まれています。”Dear Mr.Fantasy”はトラフィックのデビュー作に入ったタイトル曲でここでは、歌の合間に各人のソロがたっぷりフィーチャーされていて、ビートルズの”Hey Jude”のフレーズをなぞるのです。「Super Session」でもそうでしたがブルームフィールドが不眠症を抱えながらの熱演で、こちらもダウンしてカルロス・サンタナやエルヴィン・ビショップがヘルプに入る場面も。

 

(7)Song Of Yesterday Disc4 / Free(’)

フリーの5CDボックス「Song Of Yesterday」はレアテイクばかり集めた画期的な充実した箱ものでした。Disc4は「Free Live」とは一切かぶらないCroydonとSunderlandでのライヴで「Free Live」が71年のツアーだったのに対し前年70年のライヴで、「Highway」までの楽曲が収められています。

 

(8)Blow Your Face Out / J Geils Band('76)

J・ガイルズ・バンドR&B~ソウルとブルーズをベースにした白人によるロックンロール・バンドで、結構特殊な個性の存在でした。白人ブルーズ・ロック・バンドは多かったけど、同時代のノーザン・ソウルを下敷きにしてライヴというよりもショーとしてこれだけ盛り上げるバンドも当時珍しかった。顔であるピーター・ウルフ(vo)の存在もありますが、当時のバンドを支えてたのはネーミング通りJ・ガイルズ(g)とマジック・ディック(harp)でした。3枚のライヴ盤があって、1枚ものの「Live」('72)が人気ですが、77年の「狼から一撃」の2枚組の方がなじみあります。地元ボストンでのライヴで、帰って来たぜ~的な凱旋ムードがMCにも表れています。カヴァーとオリジナルが半々くらいですが、当時の僕の知識では全部オリジナルに聞こえます。決めの1曲は”Houseparty”、”Musta Got Lost”、”Detroit Breakdown”あたりでしょうか。とにかく曲の盛り上げ方がロックというよりはソウル的。

 

(9)Made In Japan / Deep Purple('72)

当時は日本のみのリリースでしたが内容がよかったので世界的にリリースしたらベストセラーになってしまった、という逸話があるディープ・パープルの初来日3日間のドキュメント2枚組。日本では「Live In Japan」のタイトルでリリースされジャケットは武道館ですが中身はほとんど大阪フェスティバル・ホールだとか、”Smoke On The Water”のイントロ成功テイクはこの録音だけだとか、実はイアン・ギランは辞めるとマネージメントに伝えてあったとか、様々な逸話が残されていますし、ある世代にはハードロックの洗礼を受ける通過儀式的なライヴ盤でした。今でもよく聞くのは20分近い”Space Truckin’”で歌が終わるのが5分過ぎで以後org/synそしてgのインプロヴィゼーションが続きます。この後半部分は1期のレパートリーの”Mandrake Root”や”Fools”からの引用です(昔は全然気づかなかったけどホルストの「木星」からの引用もありますね)。

 

(10)Lotus / Santana('74)

73年のサンタナ初来日(大阪)の模様を完全に収めた3枚組ライヴ。横尾忠則による22面ジャケットが話題になりそれを完全に再現した紙ジャケCDも後にリリースされています。ラテンの熱っぽい演奏を前面に打ち出した初期サンタナ(グレッグ・ローリーニール・ショーンがいた)とはメンバーも変わったニュー・サンタナ・バンドが演奏を担当し(その間に宗教的になったソロを挟んでいます)ています。新voレオン・トーマス(元カウント・ベイシー楽団)、トム・コスター、リチャード・カーモード(kb)以外は、マイク・シュリーヴ(ds)以下おなじみのメンツ。初期の曲では官能的なgにリズム隊が絡む瞬間が熱い。冒頭に日本人MCが登場して1分間の黙祷を捧げる”Meditation”があります。

 

(11)Certified Live / Dave Mason('76)

「情念」という邦題が付いた2枚組ライヴで、一つのショーをまるっと(LAのユニヴァーサル・アンフィシアターでの75年のライヴ)収録したノー・オーヴァーダブなもの。ジェラルド・ジョンソン(b)、リック・ジェイガー(ds)、マイク・フィニガン(kb,vo)、ジム・クリューガー(g,vo)によるメイスン・バンドに演奏は適度にファンキーでよくこなれています。トラフィック時代のナンバーから、カヴァーまで多彩。ファンキー・タッチの”Feeling Alright”には最初驚いたのですが… 途中アコースティック・セットがあってイーグルスの”Take It To The Limit”が取り上げられる場面も。トラフィック時代もライヴでやってたスペンサー・デイヴィス・グループの”Gimmie Some Lovin'”がハードロック風なのが面白い。

 

(12)801Live