Another Days

tomorrow's another day、some say …

エアーズ、スレイド

【ケヴィン・エアーズの30曲+】14・Fallin’ In Love Again('76)

Islandから古巣Harvestに復帰しての新作の前にHarvest時代のシングルやレア曲を集めた「Odd Ditties」が76年のはじめに出て、日本盤も「不思議のヒットパレード」としてリリース(移籍してもリリースは東芝のままでしたんで問題なかった)。この編集ものをきっかけに80'sの大学時代エアーズにのめりこんでいった事を思い出します。

さて新作は「Yes We Have No Manas、So Get Your Manas Today」という妙なタイトル。このあたりからイメージとしての「英国ロックらしさ」が薄れてきて昔のファンも混乱気味だったのでしょう。prodはスティーヴ・ウィンウッドの兄マフ・ウィンウッドで、英国バンド(ズート・マニー(kb)、リック・ウィルス(b~コチーズ)、トニー・ニューマン(ds)、オリー(g))をバックにしてるんでこれもまた英国ロックなんですが。メロディーはポップでわかりやすくなっています(このメンツによる”Help Me”は疾走感あふれるロックでちょっとこの人には珍しい)。レコーディングは難航し、オリーが師匠筋のマイク・パトゥーに呼び戻されボクサー結成の為トニー・ニューマンと抜けるので(レコーディングには参加)、録音途中で新バンドとなります(チャーリー・マクラッケン(b~テイスト)、ロブ・タウンゼンド(ds~ファミリー)、ビリー・リヴセイ(kb~スリム・チャンス)がレコーディングに参加)。ディートリッヒの有名な”Fallin’ In Love Again”のカヴァーです。

https://www.youtube.com/watch?v=h1nlCWeK9AM

 

 

【名曲リレー2198】my#2

■My Oh My / Slade(‘82)

グラムロックの勇者が突如"My Oh My"で復活を遂げたように僕のようなシロウトには映ったのですが突然の復活だったのかは正直よくわかりません(クワエット・ライオットによるカヴァー曲のヒットでオリジネーターとしてクローズアップされた?)。往年のサウンドとはずいぶん変わり80's型のものではありますが、70’sの人気絶頂時代からとにかくみんなで歌える箇所がある曲を作る、というポリシーがあって“My Oh My”なんてその集大成ともいえるロッドの“Sailing”的なメロディーでした。アルバムは「Mazing Kamikaze Syndrome」(’82)から。全英#2まで上がりました。

https://www.youtube.com/watch?v=AlwA5GLBmJM

 

【先週の読書】

23015■同志少女よ、敵を撃て / 逢坂冬馬(早川書房

おととし話題になった本がやっと借りられたのですが、クリスティ賞受賞作なんでミステリ的な仕掛けがどっかにあるのかと思ってたら正攻法の戦争冒険小説でした。ちょうどロシアXウクライナ戦線が始まった頃だったので二重に話題になった記憶。第二次大戦下のロシアXドイツ戦線の話。村を焼かれ生き残った少女がロシア軍の女性狙撃隊に入る話で、史実に忠実なリアリティの部分がささります(2021)。

23016■読まずにはいられない・北村薫のエッセイ(新潮社)

書物にかかわるエッセイは映画と同じで読んでない(見てない)と面白さ半減なのです。博識ぶりを披露するこのエッセイの題材の1/10も読んでないので面白さはよくわかりませんが、北村さんは相当の「謎」好きで、エラリー・クィーンは初期ダメ派の僕はあまりピンとこないのです(2012)。

23017■幻の声・髪結い伊三次捕物余話 / 宇江佐真理(文春文庫)
久しぶりに髪結い伊三次の世界に浸りたくなって6年ぶりの再読。これが宇江佐さんのデビュー作で、リアルでずっと追ってた事を思い出す。ずっと読んでる方の作品が作者死去で中座したのを経験したのは、栗本薫さんに次いで2度目でした。その語り口の上手さ、人生の悲しさ、愉しみを感じさせる文章の上手さは、デビューから際立ってました(1997)。