Another Days

tomorrow's another day、some say …

ミカバンド、FBB

【和ものの月曜日(再)】Sadistic Mica Band
先週のMika Bandに続いてこちらは再結成のMica Band。桐島かれん(vo)を2代目ミカにしての再結成。平成になったばかりの89年4月に古巣東芝イースト・ワールドからリリースされた「天晴」はバブルの時代らしくきらびやかな音でした。モデル出身の桐島かれんもまた加藤ミカ同様これが初の音楽活動なのだとか。桐島、高橋幸宏加藤和彦がvoをシェアする”Boys & Girls”はシングル曲で、マツダのCM曲でした。結局この再結成は一時的なもので、桐島は90年にソロになって”Traveling Girl”を出します。
 
 
【名曲リレー1637】wild#2
■Wild Horses / Flying Burrito Brothers('70)
ストーンズってこんな曲もやるんだ!とか、美しいメロディの裏に隠れたこの気持ちいいグル―ヴは何だろう?とか、なんか泣きたくなるようなgだなあ、とか思ったのはストーンズの”Wild Horses”を初めて聞いた中学生ぐらい。今から思えばスワンプ~カントリー・ロック的なルーツロックに触れた瞬間でした。イーグルスは知ってたけどそういうのとはなんか違う感じ。後になってグラム・パーソンズが途中に絡んでた事を知りましたし、もともとこの曲はグラムをモデルにしていたという説もありますし、ストーンズよりも先にグラムがいたFBBのセカンドに新曲として提供されたものでした。その「Burrito Deluxe」を聞いたのはずいぶん後でEdselからの再発でした。ストーンズほど華がないなあ(^^)
 
【先週の読書】
21069■わたしの恋人 / 藤野恵美(講談社)
21070■ぼくの嘘 / 藤野恵美(講談社)
この前読んだ「ふたりの文化祭」の前にこの2冊があったので遡って。「ハルさん」ではやや不満だった藤野さん、こっちはYA作品ですがなかなかいいです。高校生のキュンキュンするようなピュアな恋愛もの。変化球な「嘘」の方が好きかな。一旦これで終わった話も版元を変え(角川)から、スピンオフ的な「文化祭」となるわけです。(2010)(2012)。
21071■失われた地図 / 恩田陸(角川書店)
これはどういう話かを事前に知らないと結構きつい。旧軍都に時空のゆがみ「裂け目」が生じ、そこから「グンカ」なる兵士が現れあたりを破壊する。世の中がきな臭くなり、潜在的に戦争を望む者が多くなると「裂け目」が生じる。この「裂け目」を縫うために行動する一族の物語です。恩田さん得意のサイキックものですが、オネエ言葉の怪人などギャグ的なシリーズものに近い部分もあります。しかしこのきな臭い世の中というのが曲者で世相を反映した作品にもなっています。それにしても、パンデミックだの、新型肺炎だの、オリンピックだの、ここ何作か恩田さんの近未来の予言者ぶりが少し空恐ろしいのです(2017)。
21072■BLUE・ブルー / 葉真中顕(光文社)
読書グループで話題の作品。僕も乗っかってみました。平成最初の年に生まれ、最後の日に亡くなったというブルーという青年の物語。平成という30年間の出来事が語られた風俗小説であり、第一級の犯罪小説です。外国人雇用、児童虐待、貧困、震災、差別など様々な問題が異なる視点で、平易な文章で描かれます。第1部と第2部で結構タッチが違う。
少し前に、リアルな事件を題材にして、空想を膨らませた塩田武士さんの問題作「罪の声」が話題になりました。フィクションの部分にリアルな固有名詞を混ぜリアリティを増す手法にはドキドキさせられましたが、文体のリズム感に乗れない部分がありました。「BLUE」は、各章の頭に語り手の名前が付き、わかりやすくかみ砕いた文章、そして平成という時代のキーワードの説明的な解説で補う部分(東野圭吾さんの「白夜行」もそうだったような)が読んでてちょっと気になりましたが、物語の力にねじふせられた感じです。葉真中さん初めて読みましたが、別の作品も読んでみたくなりました(2019)。