Another Days

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ファーガスン、Tレックス

【月曜はAsylumの人たち】9・スティーヴ・ファーガスン

初期Asylumでリリース枚数が少なかったゆえ希少価値では一番だったスティーヴ・ファーガスンの唯一作「Steve Ferguson」(SD5060)は残念ながらそれほど大した1枚ではなく、後年結構な金額を出したわりにピンとこなかった悔しさからそう思います。ただ作家としてウェンディ・ウォルドマンやジェニファーにいい曲を書いてます。Asylumには珍しい黒人sswで、ジャクソン・ブラウンのプッシュでのデビューだったのだとか。”Gypsy Hollw”は内省的な曲ですがまずまず。

https://www.youtube.com/watch?v=BxxlippSmp8

 

【月曜はAsylumの人たち】10・トム・ウェイツ

トム・ウェイツのデビュー作「Closing Time」(SD5061)はかの有名な"Ol'55"が入っています。どっちかというとジャズっぽくなってゆくウェイツの音楽性にあってフォークの香りもします。ディランっぽい”I Hope That I Don't Fall In Love With You"が昔から好き。prodはジェリー・イエスターで、ビリー・マーニットといいアズテック・トゥー・ステップといいフォークロック系の作品のprodとしていいところを引き出すのは見事。

https://www.youtube.com/watch?v=UhZyLn0oVCs

 

SD6062はスワンプ系のロッド・テイラー。このアルバム「Rod Taylor」模試の昔は結構入手困難でした。後に渡英してグラムっぽいメイクでロデリック・ファルコナーを名乗った時にはびっくりでした(同じ人とは知らなかった)。やや過大評価かなあと思う時もありますけどいいアルバムです。

 

【名曲リレー2864】midnight#2

■Midnight / T Rex (’73)

日本では手軽なベスト盤的な扱いだった「Great Hits」というTレックスのアルバムはシングルだけの曲を多く含んだ1枚でなかなか侮れません。73年の“The Groover”のB面曲“Midnight”もこの「Great Hits」に収録。ギミックたっぷりのボラン節が楽しいです。

https://www.youtube.com/watch?v=grG3O3MIPYM

 

【先週の読書】

24137■金環日食 / 阿部暁子(東京創元社)
おととし?の「このミス」でも10位以内に入った「闇バイト」もの。途中から意外な展開になって目が離せない~とはこの本の数多い好意的なレヴューの一つのパターンですが、むしろ僕は目が離せない展開にすることばかりが前提にあって、なんか周りをもっと書いてほしいなあという感じも。良くも悪くも東京創元社の国産ミステリだなあという印象。(2022)
 
24138■世界のすべて / 畑野智美(光文社)
最近の畑野さんは社会的弱者を主人公にした作品が多いのですが、今回はジェンダー関連(性的マイノリティー)ただどうしても用語の説明に終始する部分もあって、サクサク読めて楽しいんだけど、ちょっとその辺が気になります。(2024)
 
24139■灰の劇場 / 恩田陸河出文庫
再読ですが、「0」と「1」と「(1)」を考えながら読んでた初読時とくらべ、フラットな状態で読みました。
20年以上前女性二人が橋から飛び降り自殺した記事を見かけて以来、心の奥底に棘となって残っていたことを意識していた女性作家(もちろん作者自身の投影)がその記事をもとに完成させる作品「灰の劇場」とそれにまつわるモノローグ的な「0」、その飛び降り自殺した女性2人のMとTを主人公にした「1」、女性作家が完成させた「灰の劇場」が舞台化されるまでの話「(1)」と3つのパートがランダムに出てくる実験作。。若者が「本当にあった話」にこだわる部分と、日常に潜む絶望の話がインパクトあります。
まあめんどくさい構成と言えばそうですが、恩田さんに鍛えられているので読めないことはない。なんで自殺したのかという直接の理由が明確に書かれてるわけではないのでモヤモヤするのもいつも通り。