Another Days

tomorrow's another day、some say …

友部、ピンダー

【和ものの月曜日】友部正人
 
友部正人のデビューは72年。高校卒業後名古屋から大阪へ、そこで西岡恭蔵や西岡たかしらと交流を持ち「大阪へやって来た」(URC)をリリース。♪中央線よ、空を飛んで、あの娘の胸につきさされ!と歌われた”一本道”が印象的でした。CBSソニーに移った「また見つけたよ」('73)でもディラン・スタイルのアコギとハーモニカの弾き語り。この”夕暮れ”は映画「赤色エレジー」でも使われています。
 
【名曲リレー1721】on#2
■Carry On / Mike Pinder('76)
ムーディー・ブルースのkb奏者のマイク・ピンダーのソロ「The Promise」('76)から。テクニカルなプログレッシヴ・ロックというわけでなく、ほんわかとしながら独特な世界観を作るというムーディーズは、プロコル・ハルムと似た部分があるのかも、と勝手に思ってます。当時からカリフォルニア在住のピンダーの初ソロは、ずいぶんアメリカナイズされたポップな印象。ベックマイヤー・ブラザーズが大きくフィーチャーされたファンキーな味付けも意外です。この”Carry On”はなかなかいいメロディーだと思います。ムーディーズのメンバーのソロとは言われなわからん。
 
【先週の読書】
21108■Seven Stories~星が流れた夜の車窓から(文藝春秋)
豪華寝台列車ななつ星」を舞台としたアンソロジー井上荒野恩田陸川上弘美桜木紫乃三浦しをん糸井重里小山薫堂の作品を収録。テーマがテーマだけに恩田センセ、しごく真っ当なハートウォームものに。”夢の旅路”(三浦)が一番好き(2020)。
21109■17歳のうた / 坂井希久子(文藝春秋
お初の作家さん。別の作品をどなたかが最近紹介してたような。5人の17歳の女子高生が出てくる短編集。舞子見習い、ヤンキー、神社の娘、ご当地アイドル、剣道女子とさまざまですが、皆現状に悩み、将来に不安を抱きながら精いっぱい生きそしてどれもほろ苦い。神社の娘の「Changes」がいいなあ(2016)。
21110■薔薇のなかの蛇(講談社) 
なんでも17年ぶりの理瀬ものだとか。出版社がそういう風に売ろうとするのは仕方がないのですが、主人公は理瀬ではないのです。すでに、あまださんが、あらすじ等あげてくれてますので、ちょっと過去の振り返ってみます。
初期の傑作として名高い「三月は深き紅の淵に」('97)の、第4章「回転木馬」の中に初めて登場した「水野理瀬」。この部分は、あくまでも予告編で、これが拡大されたのが、第1作「麦の海に沈む果実」('00)。湿原の中にあるワケアリの生徒たちが集めらえた全寮制の小中高一貫の学園をめぐるミステリアスな話。昭和の少女漫画的なテイスト満載です。ここに出てくるヨハン、ユーリ、レイジといった仲間のキャラも印象的。 ユーリが出てくる「黒と茶の幻想」をこのシリーズに入れるのはどうか?と思いますが、スピン・オフ的な短編、”睡蓮”、”水晶の夜・翡翠の朝”、”麦の海に沈む檻”は確かにこのシリーズです。
学園を去った理瀬が次に登場する「黄昏の百合の骨」('04)はゴシック風味のミステリ。
そしてその17年後に出た第3作「薔薇のなかの蛇」は、大人になって美術関係の仕事をしている理瀬がイギリスのエイルズベリーあたりの古い館に招かれ猟奇殺人に遭遇する話。語り手は理瀬ではなく、イギリス人アーサー。あくまでも理瀬は理知的な謎めいた黒髪の東洋美人として描かれています。07年から断続的に「メフィスト」に連載されていたもの。恩田さんは思い入れのあるキャラだけになかなか思い切って書き続けれなかったんだろうなあ。それよりもオネエ言葉のウィルス・ハンター、神原恵弥シリーズ(そういえばわりと「薔薇」この世界に近いのです)に出てきたアリス・レミントンが登場してびっくり、という多元恩田ワールドです。しかし信頼してる大好きな作家さんの新作を読む前のワクワク感というのは格別だなあと今回改めて思いました(2021)。
 
【FC】
IGB時代は強力な演奏力をバックに力みながらシャウトしているイアン・ギランですが、こういうファンキーな曲調がこの人に似合っているのかはまた別問題でした。それでも当時のハードロック少年の高校生にとっては、こういうの聞いたことないから、異ジャンルへの入門としてはうってつけだったかも(身についたかどうかは別にして)。さて3枚目「Scarabus」は米盤のジャケがあまりに…でしたが日本ではメンバーのカッコイイ写真でなかなか。ただし変拍子の嵐は続きます。久しぶりに聞く”Poor Boy Hero”では、レイ・フェンウィックのgとコリン・タウンズのclavinetがカッコイイ。短い曲ですが、まさに雄叫び。