夜と霧の盟約(上)(下) / デイヴィッド・マレル(ハヤカワ文庫NV) 一時期「オデッサ・ファイル」とか「ブラジルから来た少年」とかナチの戦犯が生きていて~という海外エンターテイメントを好んで読んでた時期がありました。「ランボー」の作者マレルが書いたこの本もそうで、実は別々の主人公の違うジャンルの作品が2つあって(未読)、その主人公たちが一緒に出るのが3作目の本書だということも再読するまですっかり忘れてました。世界各地で老人たちが謎の失踪を遂げる話と、元CIA工作員の義父の失踪の話、砂漠で隠遁生活を送っていた元暗殺者が失踪した枢機卿の捜査を依頼される話が次第に交差するスリリングな冒険アクションでした。
私の家では何も起こらない / 恩田陸(角川文庫) いよいよ10年代の作品に入ってきて、終わりが見えてくると淋しいなあ。最初は怪談雑誌「幽」に連載されてたらしい「幽霊屋敷」をテーマにした連作集。なんかホント楽しんで書いてる感じが伝わってきます。分量的にこのまえの「六月の夜と昼のあわいに」とどっこいどっこいですが、こっちはもうスーッと入ってきました。結構怖さもあります。
ストレンジャーズ(上)(下) / ディーン・R・クーンツ(文春文庫)
90’s初めに文春文庫で次々と邦訳されたクーンツの作品群に当時ハマってまして、これはスティーヴン・キング級とその頃思ってたものです。そのきっかけとなった「ストレンジャーズ」はあるものを見たこと(も記憶が改ざんされて忘れている)がきっかけで悪夢を見るようになってしまった男女が、問題のその場所に向かい謎を突き止める話。1000ページ近い大長編で長い長い。前半テンポがゆったりすぎて30年ぶりの再読でしたが、前もそうだっけ?と思った次第。素晴らしいのは藤田新策さんのイラストで、この人の表紙では個人的にベスト3に入るくらい好きです。この頃量産されてたクーンツのエンタメ(SFともサスペンスともホラーともいえない)郡は、英単語一語の原題をそのままカタカナにしたもの(ファントム、ウォッチャーズ、ミッドナイト、ライトニングetc)が多く、その辺も映像的に感じました。