Another Days

tomorrow's another day、some say …

チューブラー

4年前のnoteの記事を編集。なぜかnoteが見られなくなってるので焦りました。

支配人さんが熱くコメントと情報を寄せてくださったので、そちらも整理して本編に組み込みました。

【チューブラー・ベルズの謎】

 元になっているのはデラックス・エディションの英文ライナーで、今はなくなってしまったプログレ系FBグループで投稿した記事(それも発見できず、記憶とメモを中心に再構成)に加筆してあります。

 

73年5月25日、設立されたばかりの英Virginからマイク・オールドフィールドの「Tubular Bells」(V2001-UK)がリリース。マナー・スタジオでダビングを繰り返し、ジョン・フィールド(fl~ジェイド・ウォリア)、スティーヴ・ブロートン(ds~エドガー・ブロートン・バンド)、ヴィヴィアン・スタンシャル(ナレーション~ボンゾ・ドッグ・バンド)、リンゼイ・クーパー(double-bass~ヘンリー・カウ)ら少数のゲスト以外はマイク自身の演奏によるものでした。

 

新しいもの、変わったものを見出すことに定評あったBBCジョン・ピールが目を付けた事、スティーヴ・ヒレッジ、フレッド・フリス、ピエール・ムーレンらVirginレーベルの仲間(他にはマイク・ラトリッジやミック・テイラーも)を加えたクィーン・エリザベス・ホールでのスタジオ・ライヴがBBCでOA(11/30)された事もあって、6月のチャートイン以来実に264週(というと5年くらい)チャートにとどまるくらいにヒットを記録(全英#1)。

 

イリアム・フリードキン監督のオカルト映画「エクソシスト」('73米)に、”Tubular Bells Part1”の前半部分が使用され、映画のヒットと共に話題になりました。米Virgin(配給はAtlantic)は、”Tubular Bells”(Mike Oldfield's Theme To The Exorcist)として74年2月にリリース(VR55110-US)。ビルボードで最高位7位まで上昇し、アルバム「Tubular Bells」(VR13105-US)も米で3位まで上がるヒットとなります。ただ映画配給会社のWarner Brosから出たサントラは、マイクの音源は2曲で6分足らずで残りは現代音楽でした。

 このシングルは、

A) Tubular Bells (Now The Original Theme From "The Exorcist") 3"18

https://www.youtube.com/embed/7TuSrLPMvpk

B) Tubular Bells 4"39

https://www.youtube.com/watch?v=6TUlk_ITSjQ

となっていて、未確認ですがA面は「サントラ」(後述しますが、"Georgetown・Tubullar Bells"と題されたこの部分の演奏はマイクの曲ですが、演奏者は違うと思います)で使われた部分の編集、B面は後半のスタンシャルのMCで楽器がソロを取るあたりとのことです。(ともにPart1~昔の言い方だとSide 1)

日本盤は当時Virginを出してた日本コロムビアからリリースされました。(LL2638VR)、

 

 

 

 

 

 

 

映画を配給していたワーナーからもシングルが出てます(P1321W)が「オリジナル・サウンドトラックスコア」と書かれてるのがミソ。また演奏者にミスティック・サウンズとあるのはどうやら日本のグループ(Recorded In Tokyoのクレジット)らしいです。つまりサウンドトラック盤とは何の関係もない!

 

ちなみに親記事のコメントで中嶋支配人さんが「サウンドトラック・スコア」についてコメント。

<「サウンドトラック・スコア」は分かりにくかったですか? ロックより先に映画音楽を聴いてたので、スコアと書かれていると「同じ楽譜使用(アレンジせず出来る限り忠実再現)」的な意味がすぐ理解できました。つまりホンモノじゃないと。当時のレコード屋には、どこにも映画音楽コーナーがありました。パイオニア盤は映画音楽分類、マイクのコロムビア盤はロックコーナーに入る場合もあったようです。>

 

 

 更にフィリップスからも「エクソシスト・メインテーマ」としてレイ・デイヴィスとファンキー・トランペット(演奏)という謎のシングルも出て便乗商法が盛り上がりを見せました。

 

 

 

 この映画に使用されたことに関して、怪奇なイメージが付いてしまった、unhappyだった、とマイクはインタヴューで答えていますが、既にセカンドソロ「Hargest Ridge」の構想もありレコーディングの予定もあったのですが、米でのヒットで待ったがかかった状況にも不満があったのかもしれません。

リリースから1年後の74年6月に英で”Mike Oldfield's Single”(Theme From Tubular Bells)というタイトルでシングルが出ましたが、これはPart2の一節を再録音したもので、ヘンリー・カウのリンゼイ・クーパー(oboe)をフィーチャーしたもの。英国での初シングルとなったのですが英31位と不発で、マイクも多いに落胆したそうです。

 

こちらは 

 

A)Mike Oldfield's Single(Theme From Tubular Bells)  4"36

 https://www.youtube.com/embed/aMJ1SzupsMI

B) Froggy Went A-Courting   4"30

 https://www.youtube.com/embed/xEwQqL4OyLQ

 

B面は、16世紀の作者不詳のフォークソングで、後のマイクの志向を考えるとすごくよくわかるものです。子供の語り?は、リチャード・ブランソン(Virginレーベルのオーナー)の娘、ヴァネッサだそうです。

 

話を「エクソシスト」のサントラ盤に戻します。中島支配人が貼ってくれたmixiの記事にサントラならぬニセトラ盤の話が。

https://www.youtube.com/embed/xEwQqL4OyLQ

 勝手に引用します。

エクソシスト』の当初発売されたオリジナル・サウンドトラックLP盤にはマイク・オールドフィールドの「チューブラーベルズ」は収録されていない。ミスティック・サウンズという得体の知れない楽団の演奏であったが、これがイラク民族音楽を彷彿とさせる好演奏である。どこの国の楽団かなあと思っていたが、LPのジャケットの裏面に小さくRcording in Tokyoとクレジットされている。またまんまと一杯食わされたなとは思ったものの、なかなか味な事をするなとも思った。そしてこのシングルも発売され、ワーナー映画『エクソシスト』オリジナル・サウンドトラック・スコアと記されていて、しかも裏面にはジャック・ニッチェ、クリストフ・ペンデレツキの共作というより混ぜ合わせた「イラクの遺跡」が収録されている。LPではこの曲はサントラだが、こちらはやはりミスティック・サウンズによるシンセサイザー演奏。これまたよく出来ていて、しかも終わりにリーガンの「アーアッ!」という叫び声まで入れてあり、ファンを大喜びさせたものだ。

マイク・オールドフィールドは無断で使われた事により、当初は裁判沙汰にもなりこの頃は彼の意向により収録されず、代用としてミスティック・サウンズの演奏を収録されたのだと考えられる。しかし、よくよく聴いてみると「イラクの遺跡~ジョージタウン/チューブラーベルズ」に繋がる部分にほんの僅かではあるが、マイク・オールドフィールドの演奏が顔を覗かせている。彼はこれに気づいていたのだろうか?

この映画は初めて映画や音楽に夢中になった、いわば私の趣味のデビュー作で、一際深い思い入れがある。国内外問わずカバー盤も数多く出た。特にカバー盤でヒットしたのがイギリスのリチャード・ヘイマン楽団の演奏によるもの。こちらの方が映画のイメージをよく表しており、カラス神父が身を投げて割れるリーガンの部屋のガラスの音まで入っている。こちらがサントラと勘違いしたファンも多かった。他にレイ・デイヴィスとファンキー・トランペット、101ストリングス、パーシー・フェイス楽団などがカバーし、国内ではフィルム・スタジオ楽団、モーリス・ローラン楽団、スタンリー・マックスフィールド楽団などが競作した。映画音楽の歴史を変えた作品といっても過言ではないだろう。

この時代はブルース・リーの一連のドラゴン・シリーズや『エアポート'75』『007/黄金銃を持つ男』『エマニエル夫人』『セルピコ』『大地震』『イルカの日』などの映画音楽が立て続けに大ヒットして、そこから馴染んだファンも多く存在した。本当にいい時代であった。

エクソシスト』は当初ラロ・シフリンが音楽を手がける事になっており、実際に作曲し演奏したテープを監督のウィリアム・フリードーキンに聴かせたところ、「ダメだ。気に入らん!」との一言でリジェクトされ、「イラクの遺跡」のみジャック・ニッチェに書かせ、他は「チューブラーベルズ」と既成の現代音楽を使用した。ラストシーンの「チューブラーベルズ」と「弦楽のためのファンタジー」は曲調も似ており同じ曲に聴こえるが、実はまったく違う曲であった。しかもサントラ盤に収録されているのは、映画に使われた方ではなく別の演奏であった。

何かと偶然が偶然を呼んだ訳だが、大変面白い現象である。>

さらに中島支配人コメント

<60-70年代の「ニセトラ」を知ってると、謎でもなんでもないですよ。映画音楽がヒットチャートを賑わせ、売れ筋商品だった60年代には、サントラ音源がないものを日本のレコード会社のディレクター企画で録音して「サウンドトラック」と銘打って発売しました。中には映画本編の主題曲を差し替えてしまったものさえ(例:殺しの免許証)。ややこしいのが日本盤サントラLPで、初版はMYSTIC SOUNDSの演奏収録、再発時にマイク版に差し替えられています(ただしまた編集違い)。

でそのミスティック・サウンズのヴァージョンを。

https://www.youtube.com/watch?v=7g7EHtVn5FM

 1974年公開当時の「エクソシストサウンドトラックLPは、①マイク・オールドフィールドの楽曲収録の「アメリカ盤」、②契約問題でミスティック・サウンズのスコアカバー収録「インターナショナル盤」の2種類が存在する(ジャケットデザインは同じ。日本ではLP再発時とCD化に①も発売された)。

 ①アメリカ盤LP収録の「Georgetown / Tubular Bells」は、米virgin VR-55100のシングル盤(および日本コロムビア盤シングル)と編集が異なり、5分27秒ある。
 
 シングル米virgin VR-55100の編集をカバーしたのが、MISTIC SOUNDS版。
LP収録「Georgetown / Tubular Bells」の編集をもとにカバーしたのは、リチャード・ヘイマン楽団盤。>