Another Days

tomorrow's another day、some say …

ディラン、マッケナ

【先週の読書】(11)3月第2週

・「反撃の海峡」( ジャック・ヒギンズ、ハヤカワ文庫NV)は、第2次大戦もの。連合軍が上陸したのはノルマンディーというのは史実ですが、誘導作戦としてカレー上陸のうわさを流してドイツ軍の戦力を分散させる方法を取ったことも知られています。ヒギンズ得意の第二次大戦秘話の本作は、陰謀と策略がうごめくやり取りに、ヒギンズ得意のromantic foolなキャラクター(米軍少佐のクレイグ・オズボーンと独軍親衛隊指揮官のマックス・プリーム)を加えた傑作戦争冒険小説です。

・「ブラザー・サン・シスター・ムーン」( 恩田陸河出文庫)は、珍しく自身の早大時代のエピソードを入れた青春もの。「蜜蜂~」のベースにあるのは「チョコレート・コスモス」だけでなく本作もあったのではないかなあ…と妄想。楡崎、戸崎、箱崎のザキザキトリオの大学生活をそれぞれの視点で描きます。文庫には前日譚”糾える縄のごとく”と実際に早大のサークルの先輩と恩田さんの対談が巻末にあるという、ファンにはたまらないものです。

・「きみ去りしのち」(重松清、文春文庫) 3.11後から重松さんの作風が少し変わった感じがしてて、1歳の息子を失った主人公が、前妻のとの間の娘と旅をする話の「きみ去りしのち」も追悼と救済の話。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、出雲、与那国、島原と舞台が移るロード・ノヴェルでもあります。正直精神的にヘヴィーな今の妻洋子さんの気持ちを考えるとどうかとおもうところもありますが…

・「私に付け足されるもの 」(長嶋有徳間書店

たぶん長嶋さんの最新短編集は、すべて女性を主人公したもの。気が付けば、僕は、「それがどうした?」という話が、どの作家においても結構好きだということを改めて気づきました。コインランドリーで待ち時間に見知らぬ男が読んでいた漫画雑誌を読みいってしまう「白竜」、閉店することになってる友人の実家の模型屋に忍び込んでプラモデルを完成させる「Mrセメントによろしく」、駐車場で深夜であった謎の少女の話「潜行するガール」、βとVHS、液晶TVとプラズマTVの戦いを失踪した弟の部屋で想う「先駆者の最後の黒」など、どれも長嶋有印です。そして4ページの掌編「そういう歌」にはうならされました。アマゾンの紹介ページで(文芸書)と書かれてるのは、文芸書とはかけ離れた白根ゆたんぽさんのイラストのせいでしょう(^^)その辺も笑えます。

 

【名曲リレー1200】today#2

■Lady For Today / Contraband('74)

メイ・マッケナ(vo)をフィーチャーしたコントラバンドは、スコットランドのトラッド~フォークロックでマイケル・シェンカーの方ではありませぬ。マッケナ(この姓ではテッド・マッケナを思い出しますがカンケーあるの?)のvoが気高く上品でかつ力強い”Lady For Today”は名曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=qWt_TZC5l5Q

 

【火曜は君の名は?】Rita May / Bob Dylan('76)
 
クラプトンの「Another Ticket」に入ったディランの新曲という触れ込みだった”Rita May”は実は「欲望」のアウトテイクだそうで、作者ヴァージョンを聴くと、スカーレット・リヴェラのジプシー・ヴァイオリンが妖しく響く「欲望」らしいナンバーでした。