【映画懐かし地獄】ファール・プレイ(’78米)
リクエストがあったことにして強引に。アーカイヴから引っ張ってきました。しかし邦題「ファウル・プレイ」でよかったのに。
今では忘れられてるけど、70's半ばまでコメディーはコメディー、アクションはアクション、サスペンスはサスペンスだった。つまり笑えるサスペンスなんて多くは存在しなかったのです。そういう意味でもこれは画期的な1本。「少年は虹をわたる・ハロルドとモード」の脚本を書いたコリン・ヒギンズの監督デビュー作で、ヒッチコックへのオマージュを捧げたもの。とはいってもブライアン・デ・パルマのような真摯なスタイルではなく、その部分は真面目にやり、後の部分で笑わせる。ゴールディー・ホーンという人は一歩間違えるとただうるさいだけのような役柄が多いけど、ここでのグロリアは、キュートな役柄でチェイスとのラヴ・ロマンスがまずあって、ダドリー・ムーア(本気で笑ったのはこれのみ)のいささか下ネタっぽい笑いがあり、dowarf(こびと、と訳せないので「ちっぽけ」という字幕は苦肉の策です)にからむギャグなどがあります。「知りすぎた男」などまきこまれ型のヒッチコック・サスペンスのパロディー(「ダイアルMを廻せ」の鋏も)でしめるという構成。また珍妙な日本人旅行客(やってるのは中国人だけど)、サン・フランシスコの坂を使ったカー・シーン(もろ「ブリット」風)もある。きっかけとなったフィルム(タバコの中に入った)は結局のところ話を転がすだけの小道具(ヒッチコックはマクガフィンと呼んだ)だったり、映画館で隣に死体など、かなり細かい映画愛に満ちている。主題歌はバリー・マニロウで、昔は歌を代えて欲しかったけど、今の感覚ではそうでもないなあ。